彼の瞳に捕まりました!


「え~~いいじゃないですか~」

その声はどうやったら出せるの?

そんな事を聞きたくなるような、猫なで声が聞こえる。

「あほか」

高瀬の冷めた声。

その声に動じることなく、甘えた声が響いてくる。

「サトコ、キスしたいですぅ。高瀬さんとぉ」

「……だから、なんで俺がお前とキスしなきゃいけないんだよ」

「私、高瀬さんの事、ずっといいなぁって思ってたんです~。
でも、高瀬さんは麻生先輩と付き合ってるって思ってたんですけどぉ……」

「けど?」

「昨夜、麻生先輩『お見合いパーティ』って、高瀬さん言ってたから」

「……」

「今がチャンスかな?って。別れたんですよね?」

「誰が、誰と?」

「え~、麻生先輩と高瀬さんです」

「……へぇ、別れたんだ?」

「だから~、私と付き合って下さい……高瀬さん、学生の頃だいぶ遊んでたって聞きましたよ?キスくらいどうってことないでしょ?」

サトコちゃんの言葉に、心臓がギュッとなった。

高瀬にとっては、私もその中の一人なんだろう。
未だに続くキスも、きっとそう言う事なんだ……

「キス、くらいねぇ」

「私、めんどくさい女じゃないですよ?」

甘えた声のまま、サトコちゃんの発言はどんどん妖しさを増して行く。

「身体だけ。でもいいですよ。麻生先輩ってマグロでしょ?
私、違いますよ。高瀬さんの事気持ちよくさせてあげられます」



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