ヴァンパイアヒューマン−桜−
『大丈夫…強くならなきゃダメだから…母さんと約束したから…強くならなきゃ…』
ジンタは小さなこぶしを強く握りしめ、唇を震わせながら告げた。
するとミーナは、そのジンタの握りしめる小さなこぶしを自分の両手で包みこみ、優しく上から握りしめた。
『ジンタ…もう良いんだよ。ジンタはもう十分にトライバスタンのために頑張った。きっと、一人で何度も心が折れそうになったと思う。涙は我慢することで強くなれるんじゃない、涙は流した分だけ強くなれるんだから』
ミーナはそう言って、ジンタの顔を見つめながら優しく微笑んだ。
そのミーナの言葉を聞いたジンタの目から、堪えていた涙がドッと溢れ出した。