ヴァンパイアヒューマン−桜−
『わかりました、パパ』
ミーナはそう告げ、宮殿の長い螺旋階段を駆け降り、3階から1階へとやってきた。
『ミーナ様どこかへ行かれるのですか?』
宮殿の入口にいたガタイのいい大きな男“ラッセル”が、ミーナに声をかけてきた。
『あら、ラッセル。今からパンを買いに行く所よ』
ミーナはラッセルの質問に答えた。
『そうですか、お気をつけ下さいませ』
ラッセルはそう言って、笑顔でミーナを見送った。
ラッセル…王国イチの怪力の持ち主で、パワーでは彼の右に出るものはいない。
ミーナが宮殿の門を出て庭に差し掛かると、一人の女性“ハート”が花に水をあげていた。
『ハート、綺麗に花が咲いたね』
ミーナはそんなハートに話しかけた。