ヴァンパイアヒューマン−桜−


『じゃあ、ホントにこれでこの国は…』


ズブはそう言って笑顔を見せた。


『うん、この国も…あっ、アカシア王を助けなきゃ!!』


思い出したかのようにミーナは、アカシア王の捕えられている地下牢へと足早に駆けて行った。


ミーナが地下牢へと駆けつけると、薄暗い地下牢の前にはジンタが立っていた。


そしてジンタは衰弱しきっている自分の父・アカシア王にそっと話しかけていた。


『父さん…俺…俺、結局一人の力では何も出来なかった…。バゼルからこの城を取り戻すことも…国を守る事も…俺には…出来なかった…』


ジンタは涙を零しながら、牢屋の鉄ごうしを握りしめて言った。


『ジンタ…』


そんなジンタの姿をミーナはじっと見つめた。





< 303 / 574 >

この作品をシェア

pagetop