ヴァンパイアヒューマン−桜−


『あの勇敢で、優しくって、みんなから愛されていたアカシア王の血を引いているのに…俺は父さんみたいになれなかった…。ごめん…父さん…。俺一人じゃ…何も出来なかった…』


ジンタは鉄ごうしを握りしめながら、しゃがみ込み悔しがった。


『ジンタ!!』


そんな様子を見ていたミーナがジンタに駆け寄った。


『ジンタ…もう大丈夫だから…バゼルはもう…。だからもうこの国は大丈夫だから…』


ミーナは悔しがっているジンタをギュッと抱きしめた。


『悔しいよミーナちゃん。俺…俺…結局一人じゃ何も出来なかった…何も…』


ジンタはミーナに抱きしめられながら涙を流した。



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