ヴァンパイアヒューマン−桜−
『その少年はある日、大きな一本の桜の木がそびえる花畑で一人の少女と出会いました。その少女はたった一人のヴァンパイアの生き残りでした』
ハクじぃの話を3人は静かに聞いた。
『その話って…もしかして…』
ハートとラッセルは以前自分達が妖精の城で見た過去の話を思い出し、二人は顔を見合わせた。
『その少年はそれ以来、ヴァンパイアであるその少女と次第に心を通わせ、二人は一緒に過ごすことが多くなりました…。二人だけの居場所であるその桜の木の下で…』
ハクじぃは話しながら窓をそっと開け、夜空を見上げた。
ハクじぃが開けた窓から、春の始まりの風が小屋の中へと入り込んだ。