ヴァンパイアヒューマン−桜−
『それからヒューマンである彼は、ヴァンパイアである彼女の事を忘れられずにいた。彼は彼女を守れずにいた自分を恨み、彼女を傷つけたヒューマンを憎んだ。彼はヒューマンとしての歩みを止め、自分の中に流れる彼女のヴァンパイアの血と共に生きる事を選び、ヴァンパイアの王として再び歩み始めたのでした。これが“ヒューマンになりたかったヴァンパイアとヴァンパイアを愛した愚かなヒューマン”の昔話です』
ハクじぃはそう言って一息ついた。
『ヴァンパイアの王として歩み始めたか…元はヒューマンだった男・ヴィルグロース…』
ラッセルは静かに呟いた。
『うん?』
ミーナは棚の上に飾られている一枚の写真にふと気付いた。
ミーナはその棚の上の写真に手をやった。