ヴァンパイアヒューマン−桜−


『それをこっちに返せ』


クロードは銃を向けながらヴィルグロースに告げた。


『お断りします。本物の聖水でないにしろ、この聖製水からいつ本物の聖水が生まれるかもわかりません。こんな危ないものはないほうが良い』


ヴィルグロースはそう言って、聖製水の入った試験管を右手で強く握り割った。


聖製水は試験管の割れたガラスの破片と共に、地面に零れ落ちた。


『なっ!!』


それを見たクロード、ラッセル、ミーナは言葉を失くした。


『これでもう恐いものなんてありませんね、くっくくくく』


ヴィルグロースは笑った。


『望みが…消えた…』


ラッセルは信じられない様子で頭を横に振った。


『ハッハハハハ!!』


絶望に満ちた3人の顔を見たヴィルグロースは甲高い声で大笑いをした。



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