ヴァンパイアヒューマン−桜−
国民たちが必死に王国の再建へと汗を流しているうちに、太陽は沈み月が夜空に顔を出した。
ミーナは壊れた王宮の中庭にある池のほとりに座り込み、何かを考え込むようにじっと池の真ん中にある噴水を見つめていた。
『お元気がないようですね』
ミーナはふと背後から聞こえたその言葉に反応し、後ろを振り返るとハートがゆっくりと歩み寄ってきていた。
そしてハートはミーナの隣に静かに腰を下ろした。
『ずいぶんお元気がないようですね』
ハートはそう告げながら、ミーナの顔をそっと覗き込んだ。
『えっ…う、うん…』
ミーナは元気なく俯いた。
『ダメですよミーナ様。王国の王女であるアナタがそんな顔していたら、国民たちが不安がります』
ハートは優しくミーナに告げた。