ヴァンパイアヒューマン−桜−
『泣かないで下さい、ミーナ様。私はあなたの、ミーナ様の笑っている顔が好きです。だから、泣かないで下さい、ミーナ様…』
ラッセルはそう言って、目が見えない中ミーナの涙を大きな手で優しく拭った。
死に間際からなのか…ピークを超えたからなのか…さっきまでとは違い、不思議とラッセルは息切れもせず落ち着いていた。
『ラッセル…』
ミーナは涙を流しながらラッセルの大きな手を両手で握りしめた。
『ミーナ様、私からひとつだけお願いがあります』
ラッセルはそう言ってポケットから何かを取り出した。
『何?』
ミーナは戸惑いを浮かべた。