ヴァンパイアヒューマン−桜−
『ハイ、凄く綺麗に咲きました』
ハートは優しく笑いかけた。
ハート…宮殿の雑用係の25歳。ミーナが生まれた時からずっとミーナの面倒を見て来た。ミーナにとっては姉みたいな存在である。
ハートと別れた後、ミーナは街のパン屋へと向かった。
ミーナが向かったパン屋は、古びた建物に『スターベーカリー』と書かれた看板が着けられていた。
ミーナは鈴のついた扉をゆっくりと開いた。
『いらっしゃいませ、ミーナ様』
カウンターに佇む一人の老婆“マザードルモ”がミーナに声をかけて来た。
『マザードルモ、こんにちわ。今夜のパーティーで使うパンを買いにきたんだけど…』
ミーナはそう言いながら、パンが陳列してある店内を見回した。
『パーティーのパンですね。少しお待ち下さい』
マザードルモはそう言って、店の裏へと入って行った。