ヴァンパイアヒューマン−桜−


『ハイ、凄く綺麗に咲きました』


ハートは優しく笑いかけた。


ハート…宮殿の雑用係の25歳。ミーナが生まれた時からずっとミーナの面倒を見て来た。ミーナにとっては姉みたいな存在である。


ハートと別れた後、ミーナは街のパン屋へと向かった。


ミーナが向かったパン屋は、古びた建物に『スターベーカリー』と書かれた看板が着けられていた。


ミーナは鈴のついた扉をゆっくりと開いた。


『いらっしゃいませ、ミーナ様』


カウンターに佇む一人の老婆“マザードルモ”がミーナに声をかけて来た。


『マザードルモ、こんにちわ。今夜のパーティーで使うパンを買いにきたんだけど…』


ミーナはそう言いながら、パンが陳列してある店内を見回した。


『パーティーのパンですね。少しお待ち下さい』


マザードルモはそう言って、店の裏へと入って行った。



< 4 / 574 >

この作品をシェア

pagetop