ヴァンパイアヒューマン−桜−
『俺が捨てた頃はまだまだちっちゃいガキだったのに…大きくなりやがって…』
ガルディニア王はそう言って懐かしそうな眼差しを送った。
『頼みます…許可証を!!』
ジャックは深く頭を下げた。
『許可証は俺には出せないが…替わりにこれを持って行くが良い。この指輪を霧刻の谷の兵士に見せれば、すんなりと通してくれるハズだ…』
そう言ってガルディニア王は、自らの小指に嵌める指輪をジャックに手渡した。
『この指輪は…』
指輪に触れた時、ジャックはふと懐かしさを感じた。
『その指輪はお前の母、ルナが亡くなるまで着けていた指輪だ。形見としてガルディニアの家宝にしておいたんだ…』
ガルディニア王はそう言って微笑んだ。