ヴァンパイアヒューマン−桜−
『…未練たらたらだったんだな』
ジャックはそう言って笑った。
『ほっとけ!!今のお前を見ている限り、いい人に拾って貰って育ててもらったんだな…。俺に会いたくなったらいつでも会いにくればいいぞ、ジャック』
ガルディニア王は立派に育ったジャックを見て嬉しそうだった。
『ふん。もう二度と来ないさ』
ジャックは冗談混じりに告げ、笑みを残してミーナたちと寝室を出ていった。
『ガルディニア王様。どうして急に指輪を渡す気に?』
ナズナは不思議そうに尋ねた。
『自分を捨てた親に頭を下げるなんて余程の事がなければできまい。そのあいつの…ジャックの気持ちに答えてやりたかったんだ。最後くらいアイツに親らしくしてやれたかな…』
ガルディニア王はそう言って、ふと淋しげな表情を見せた。