ヴァンパイアヒューマン−桜−
『行こう…』
ジャックは一言小さな声で告げた。
『えっ?』
ミーナは涙を拭いながら聞き返した。
『我々で彼女を成仏させてあげるのが、1番良い方法かも知れない。だけど彼女をそっとしておいてあげよう。もう彼女から居場所を奪いたくない。あんなに楽しそうに笑ってる彼女に“幸せな時間”をもっともっと感じていて欲しい…』
ジャックはそう言って優しく微笑んだ。
『ジャック…』
ミーナはジャックの言葉に静かに頷いた。
『そうだな。成仏することが全ての魂にとって、1番良い事だとは限らないしな。行こうか』
クロードはそう言って、歩き出した。
『うん、先へ行きましょう』
ミーナも歩き出し、3人はまた深い霧の中へと姿を消して行ったのだった。
霞み行くサラの思い出の季節の場所を背にして。