ヴァンパイアヒューマン−桜−
『ヴァンパイアの願いって…もしかしてここは…ここ月闇の村は…』
ミーナは考え込みながら告げた。
『ヒューマンたちから逃げ、隠れ住んだ場所なんですよ、きっと。月闇の村こそがヴァンパイアたちが作った村なんでしょうね』
ジャックはそう言って、次々とまた日記のページをめくりにめくった。
1707年12月2日。
先日、我々の仲間の一人が村を飛び出し霧刻の谷を抜け、ヒューマン界へと飛び出した。
あれ以来何も連絡すらない。
恐れられ殺されてしまったのか…。
30年前のヴァンパイア狩りを思い出してしまう。
悲しみの雪が舞った残虐な日を―。