ヴァンパイアヒューマン−桜−
『サラ…最後のヴァンパイア…。彼女はここで生まれてここで育った…ここが彼女の故郷…。サラ…』
そう告げながら、日記のページをぺらぺらめくるクロードの唇は震えていた。
1720年12月22日。
グラバドール、ハイランドール、ガルディニア、トライバスタン。
ヒューマン界の4大国がヴァンパイア退治に手を組んだ。
数百年に一度晴れる霧刻の谷の日にあわせて、明後日、大勢の兵たちがこの村に攻め入るらしい。
我々は迎え撃つつもりはない。
例え、我々の敵だとしても自分たちの命を守るために、誰かの命を奪いたくない。
我々は滅びる運命にあったのだ。
そう…滅びる運命に…。
そして我らが滅びれば争いもなくなり、やがて平和になるハズだ。