ヴァンパイアヒューマン−桜−
『綺麗な月…』
ミーナは窓ガラスごしに、夜空に浮かぶ月を見つめた。
『ヴィルグロースたちが襲ってきたあの夜も、こんなに月が綺麗だったな…』
ミーナはそう言って、何かに取り付かれたかのようにただじっと月を見つめていた。
そして月を見つめているミーナの目の色が、次第に黒から赤へと変わっていく。
それでもミーナは、何かにとりつかれたように、ただ月だけを見つめていた。
『ミーナ様、もうお休みになられましたか?』
そんなミーナの部屋の扉をハートがノックし、ハートが扉を勢いよく開けた。
『ミーナ…様!?』
ハートは部屋に入るなり、月を見つめているミーナに声をかけた。
『えっ!?あ、ああ…ハート何か用?』
ミーナはハートの声に気付き、ハートの方に慌てて振り返った。