ヴァンパイアヒューマン−桜−


『へぇー、俺の兄さんって無愛想な方なんだなぁ…。せっかく弟に会えたってのに、挨拶もなしか…残念だなぁ、はぁー』


リュートはそう言って溜め息をついた。


『ガルディニア城に帰れ』


口を開いたジャックは、そう一言だけ告げた。


『えっ?口を開いたかと思ったら、そんな事を…』


リュートはやれやれと言う仕草をした。


『俺は帰らないよ。俺はずっとあんたに会いたかったんだ。せっかく会えたのに帰るなんて出来るわけがないだろ。その理由を話してやろうか?…俺がさ、もの心ついた頃にガルディニア王があんたの存在を俺に話してきた。俺が目の前にいるというのに、自ら捨てたあんたの心配ばかり…正直ウンザリだったよ』


リュートは話し始めた。




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