ヴァンパイアヒューマン−桜−


ジャックは剣を突き付けたリュートをじっと見つめ、そしてミーナに歩み寄った。


『ミーナ様、申し訳ありません。奴を…リュートを倒したら必ず後を追います。一人にさせて申し訳ありませんが、先にヴィルグロースの元へ…』


ジャックはそう言って、真剣な眼差しでミーナを見つめた。


『ジャック…。うん、一人で大丈夫。必ず追いかけて来てね、ジャック。約束』


ミーナはそう言って、右手の小指を差し出した。


『はい。必ず…』


ジャックも右手の小指を差し出し、二人は指切りをした。


そしてミーナはリュートの横を走り抜け、大広間の階段を駆け上がり、城の奥へと姿を消したのだった。



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