ヴァンパイアヒューマン−桜−


『逃げてばかりでは私を倒せませんよ』


ヴィルグロースはそう言って、攻撃する手をスッとやめた。


『はぁ…はぁ…』


ヴィルグロースの前に姿を現したミーナは息をきらし、汗を滴り流した。


『逃げてるだけで弱ってるじゃないですか…同じヴァンパイアとして情けないですね、フハハハ』


ヴィルグロースはそう言ってミーナを嘲笑った。


『逃げてばかりで良いのよ…あたしはあなたを倒すんじゃなく、止めるんだから…はぁ、はぁ』


そう言いながらミーナは、しんどくなってその場に膝をつき崩れ落ちた。


『もう終わりにしましょう…愛するサラの血がお前に流れているのが、私はずっと憎かった。でもその憎しみもこれで終わる…アディオス』


そう言ってヴィルグロースは、両手に力を集中した。


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