ヴァンパイアヒューマン−桜−


『ウィルさん、しっかりして!!』


ミーナはウィルに呼びかけた。


『笑ってくれてる…はぁ、はぁ』


ウィルは目を閉じ呟いた。


『ウィルさん!?』


ミーナはそんなウィルに戸惑った。


『サラ…やっと…やっと笑ってくれた…サラ…』


目を閉じながらウィルはほほえましく笑顔を見せた。


『良かった…サラ…』


目を閉じるウィルの目から涙が溢れ、その涙がウィルの頬を優しくつたった。


そして、そのままウィルは微笑んだまま息を引き取った。


最後に自分の命を盾に、ミーナを守ったウィルにようやくサラは微笑んだのだった。


自らを犠牲にして誰かを守ったその姿に、サラは微笑んだのだった。


そして、サラを思うウィルの儚き思いは永久へと消えないまま続くのだった。




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