ヴァンパイアヒューマン−桜−
ミーナはジャックの差し延べた手をギュッと握りしめた。
『う…う…』
そんな二人の耳にリュートのうめき声が入って来た。
ジャックはリュートの方に目をやり、そっとリュートに歩み寄った。
そしてジャックはリュートの腕を掴み、自らの背中にリュートを背負った。
『こんな奴でも…血の繋がった弟だし…こんな奴でも…帰りを待っている人がいる…必ず連れて帰るって、ナズナさんに約束したしな』
ジャックはそう言って笑顔を見せた。
『ジャック…うん…』
ミーナもそう言って、ジャックの笑顔に笑顔で答えた。
そして、ミーナとリュートを背負ったジャックはゆっくりと黒闇の城を出た。