ヴァンパイアヒューマン−桜−


ミーナはジャックの差し延べた手をギュッと握りしめた。


『う…う…』


そんな二人の耳にリュートのうめき声が入って来た。


ジャックはリュートの方に目をやり、そっとリュートに歩み寄った。


そしてジャックはリュートの腕を掴み、自らの背中にリュートを背負った。


『こんな奴でも…血の繋がった弟だし…こんな奴でも…帰りを待っている人がいる…必ず連れて帰るって、ナズナさんに約束したしな』


ジャックはそう言って笑顔を見せた。


『ジャック…うん…』


ミーナもそう言って、ジャックの笑顔に笑顔で答えた。


そして、ミーナとリュートを背負ったジャックはゆっくりと黒闇の城を出た。


< 548 / 574 >

この作品をシェア

pagetop