ヴァンパイアヒューマン−桜−


『リュート様を連れて帰って来て下さった…ただそれだけで私はうれしゅうございます。ありがとうございました』


ナズナはそう言って、ミーナたちに頭を下げた。


『ナズナちゃん…』


ミーナはそんなナズナの姿を見てたまらなくなった。


『リュート様はもう歩けなくなりましたが、これからは私がリュート様の足となって、リュート様のお世話をします』


ナズナはそう言って、優しい笑顔を見せた。


『ナズナさん。一つ聞いていいですか?どうしてそこまでリュートのために…』


ジャックがそう言いかけると、ナズナは静かに頷いた。


『リュート様は…リュート様は私にとっての王子様だからです』


ナズナは照れ臭そうに告げた。


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