ヴァンパイアヒューマン−桜−
『ナズナちゃん…』
ミーナはそんなナズナをじっと見つめた。
『私は幼き頃に親を亡くし、叔父の家へと預けられました。叔父はすごく優しくて、私の親代わりになってくれました。しかし、病気で叔父が亡くなり、その途端私は2人の義姉や義母に奴隷のように扱われるようになり、毎日毎日…』
ナズナはそう言って、悲しげな表情を見せた。
『でも、自殺まで追い込まれ家を飛び出したそんな私に、そっと手を差し延べてくれたのがリュート様でした。リュート様は、雨が降るガルディニアの川の辺で一人泣いている私に、そっと傘をさしてくれました。そして私に語りかけて来ました』
ナズナはそう言ってあの日々を振り返った。