ヴァンパイアヒューマン−桜−


『泣いているのか?』


傘をさし、川を見つめながらリュートはナズナに語りかけた。


『グスン…』


川の辺にしゃがみ込みながらナズナは涙を拭った。


『俺は涙は嫌いだ。涙は見てる人の心を苦しめる…心を苦しめられるような涙などいらない…』


リュートは低い声で告げた。


『すみません。もう死にたいです…私には生きている意味がありません…毎日毎日義母や義姉にイジメられ…私は…』


ナズナの声は震えながらか細かった。


『コケにされたのに、ここで終わらせて悔しくないのか?』


リュートがそう言うと、ナズナは目を大きく見開いた。



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