ヴァンパイアヒューマン−桜−
『ジャックとバロンさんって…本当の親子じゃなかったのか…』
ラッセルはジャックの過去を初めて知って驚いた。
『ジャックも最初はイタズラや悪いことばかりやってたわ。でもそれは、ただ自分の寂しさを紛らわすためだけだった…だからきっと、さっきのあの少年も寂しいんだと思う』
ミーナは少年が去っていた方向を見つめた。
『目を見ただけで、そこまでわかるなんて凄いですね…ミーナ様』
ハートは感心した。
『あ、おい!!これって…もしかしてさっきの少年の?』
ラッセルは道端に落ちていた古びたお守りを拾いあげた。
『ジンタ…か。アイツ、ジンタって言うのか…』
ラッセルは、お守りに糸で書かれている名前を読み上げた。
『さあ、もう少しで朝だし…それまでもう少し寝ましょう』
ミーナがそう言うと、ラッセルとハートは頷いた。
ラッセルはジンタのお守りをポケットにしまい込み、また眠るミーナとハートを横目にウツラウツラと見張りを続けた。