ヴァンパイアヒューマン−桜−


幼いミーナは震えながらメイドの服をぎゅっと握りしめていた。


『まさか、グラバ王最愛の娘ミーナ様とこんな所で出会えるなんて…俺たちはツイてるなぁ』


盗賊の一人は不敵な笑みを浮かべながら告げた。


『ミーナ様を誘拐すればグラバ王は取り乱すだろうな。そして、ミーナ様を利用すればきっとグラバ王は俺達の言うことを素直に聞くだろうな、ハッハハハ』


盗賊たちは陰謀を胸にバカ笑いをした。


『ミーナ様、逃げましょう!!』


盗賊達がバカ笑いをしている隙に、メイドはミーナの手を引き、逃げようと走り出した。


『逃がすか!!』


それに気付いた盗賊の一人が、逃げようとするメイドに向かってナイフを投げた。





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