終わりの始まり
付き合ってから
はじめて2人で会った。

会ったと言っても
まだ中学生だったから
朝早くに教室で待ち合わせをして学校をぶらぶらするだけ。

その日はX'masの1日前。
私はX'masプレゼントを手に待ち合わせの6組の教室へ行った。

朝早かったから誰もいない教室で颯斗は寒そうに手を擦り合わせていた。

「おはよっ!」
と私が声をかけると
少し驚いて笑いながら
「おはよう」と言った。

たったそれだけのことでも私の心を弾ませるのには十分だった。

心臓の音がうるさい。

私はとてもとても小さい声で「これ…」と
X'masプレゼントを渡した。


私の声が聞こえずらかったせいか颯斗は私のすぐ近くにいた。

「………ぅ」
あれ?今なんか言ってた。
恥ずかしさと胸の鼓動のせいで颯斗の声を聞き取ることが出来なかった。

私の顔にはハテナマークがたくさん浮いていた。



「ビシッ!」

いきなり颯斗がデコピンをしてきた。

「な…何すんの~?」
冗談じゃなくまじで痛い。私は涙目になりながら聞いた。

「話聞いてなかったからお仕置き♪」

と笑顔で教室を出ていった。


私はあわてて颯斗を追いかけた。

颯斗は脚が長い。
だから私よりも歩く速さはもちろん速かった。

私は走った。

やっと追いついて膝に手をついて息を深く吸った。

ちらっと目の前の颯斗を見たら手を後ろで「ちょいちょいっ」と動かした。

これは…?
手を繋ぐって意味かな?

またハテナマークがたくさん浮いていた。

けれど今度はデコピンじゃなかった。

膝に置いてあった私の手は「するり」ととられ颯斗の大きな手に握られていた。


そのまま無言で歩く2人。

ちらっと颯斗を見たら顔が真っ赤だった。


なんだか私の中の心に太陽が出てきたみたいに暖かくなってきていた。
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