永遠の想い ~イジワルな君と弱虫な俺~【短編】
そのとき何もできなかったのは抱きつかれたからでもあったけど
それよりもこいつが何故か知らない大人の女性に見えたからでもあった
今からみればあのときのこいつも大人ぶっただけの子供だったんだろうけど
中学生の俺には、果てしなく遠いところにいるような気がした
高校に入ってからは恋愛相談室は卒業したのか、どんな恋愛遍歴を繰り広げてきたのか聞かされることはなかった
でも俺が知っているのは、報われることのないタブーの恋ばかり
ただ相手が女っていうのははじめてだけど
「……。」
「何思い出しちゃってるんだよ。難しい顔しちゃってさ、嫌だねぇ。
眉間にそんな風にしわが残るからね」
「…。」
「…本当にもう。あんたは昔からちっとも変わらない。」
「お前だって…」
「なんか、いつもすごく苦しそうな顔をする。
私より苦しそうで、話しちゃいけなかったかとか思わせる」
「そんなことねぇ」
「でも…他のやつには話せなくて、話にきちゃうんだよな。」
こういう時だけお前は特別みたいな言い方をする