魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
『ラスには結婚話が進んでいることは内緒だ』
そう約束させられたグラースは、部屋に入るといつもならラスの部屋に備え付けのバスルームを使うラスの手を引っ張った。
「私と一緒に風呂に入ろう」
「え…急にどうしたの?」
「たまにはいいじゃないか。ティアラとは何度も一緒に入ったことがあるんだろう?」
「うん、そうだけど…」
どうしたことか恥ずかしがるラスと部屋を出て、一度に10人は入れそうな王族用のバスルームへ入るとさっさと服を脱ぎながらドレスのファスナーを下げてやった。
「私と入るのは嫌なのか?理由は?」
「だって…グラースはすっごくスタイルがいいし…」
「お前だってあちこち成長してすごく綺麗になったぞ。それこそ魔王が今のお前を見たら“爆発する!”って叫ぶに決まってる」
…“爆発する!”はコハクが興奮した時にいつも使う言葉で、口調も真似してみせたグラースに思わずラスが噴き出した。
「私…綺麗になった?」
「ああ、元々可愛かったがもっと可愛くなった」
グラースが男なら絶対に好きになってしまう自信があるほどラスはグラースのことが大好きだ。
だからこそ恥ずかしがって一緒に風呂に入ることを躊躇していたのだが、思い切ってドレスを脱いで下着を脱ぐと一緒に手を繋いでバスタブに飛び込んだ。
「わあ、気持ちいい!」
「…少しはすっきりしたようだな。気持ちの整理はついたか?」
腕でお湯を凪いでいたラスはふっと笑い、首を振ると髪をバレッタで留めて天井を見上げた。
「気持ちの整理ってコーが死んだことを認めるってことでしょ?私は認めないよ。コーのお嫁さんになるって決めたの。だから気持ちの整理なんてつけないの」
「そうか。確かに2年経っても私にも魔王が死んだという実感はない。…さあ、身体を擦ってやる」
――リロイとの結婚話が進んでいることは言えない。
もしそれを知ったらラスはまたバルコニーから飛び降りようとするかもしれない。
ようやくここまで気持ちが落ち着いて来たのに、振り出しには戻りたくない。
「きゃっ、くすぐったい!」
「我慢しろ」
悩む。
そう約束させられたグラースは、部屋に入るといつもならラスの部屋に備え付けのバスルームを使うラスの手を引っ張った。
「私と一緒に風呂に入ろう」
「え…急にどうしたの?」
「たまにはいいじゃないか。ティアラとは何度も一緒に入ったことがあるんだろう?」
「うん、そうだけど…」
どうしたことか恥ずかしがるラスと部屋を出て、一度に10人は入れそうな王族用のバスルームへ入るとさっさと服を脱ぎながらドレスのファスナーを下げてやった。
「私と入るのは嫌なのか?理由は?」
「だって…グラースはすっごくスタイルがいいし…」
「お前だってあちこち成長してすごく綺麗になったぞ。それこそ魔王が今のお前を見たら“爆発する!”って叫ぶに決まってる」
…“爆発する!”はコハクが興奮した時にいつも使う言葉で、口調も真似してみせたグラースに思わずラスが噴き出した。
「私…綺麗になった?」
「ああ、元々可愛かったがもっと可愛くなった」
グラースが男なら絶対に好きになってしまう自信があるほどラスはグラースのことが大好きだ。
だからこそ恥ずかしがって一緒に風呂に入ることを躊躇していたのだが、思い切ってドレスを脱いで下着を脱ぐと一緒に手を繋いでバスタブに飛び込んだ。
「わあ、気持ちいい!」
「…少しはすっきりしたようだな。気持ちの整理はついたか?」
腕でお湯を凪いでいたラスはふっと笑い、首を振ると髪をバレッタで留めて天井を見上げた。
「気持ちの整理ってコーが死んだことを認めるってことでしょ?私は認めないよ。コーのお嫁さんになるって決めたの。だから気持ちの整理なんてつけないの」
「そうか。確かに2年経っても私にも魔王が死んだという実感はない。…さあ、身体を擦ってやる」
――リロイとの結婚話が進んでいることは言えない。
もしそれを知ったらラスはまたバルコニーから飛び降りようとするかもしれない。
ようやくここまで気持ちが落ち着いて来たのに、振り出しには戻りたくない。
「きゃっ、くすぐったい!」
「我慢しろ」
悩む。