魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
今まで部屋に閉じこもっていたラスが笑っている――
カイとソフィーはそれだけで幸せで、
そしてラスはその時グラースとダンスをしていた。
「君もあんな風に踊りたいかい?」
「…僕はラスに求婚します。陛下…陛下は許可を下さいましたよね?」
「そうだね…だけどさっきの様子から察するにそれは無理だと思わないかい?君は白騎士団の隊長で、“勇者”として戻ってきた。ラスに求婚する資格はあるけれど、ラスは受け入れるかな?」
「魔王亡き今、ラスを幸せにできるのは…僕だけです。陛下、よろしいですね?」
――未だに魔王の骸は見つかっていない。
だとすれば、永遠の命を持った魔王が生きている可能性は高いが…ここ2年間、音沙汰もない。
それに元々ラスとリロイをいつか夫婦に、とも思っていた。
時間をかけて説得すれば、ラスもいずれは魔王の死を理解し、リロイを受け入れるかもしれない。
「ラスを必ず幸せに。それが守れるのであれば、言うといい」
「ありがとうございます。…強引に迫ることもあると思いますが、ご理解を」
リロイもまたゴールドストーン王国に戻って来て何もしなかったわけではない。
旅の間に魔物との戦いを経験し、力不足を痛感し、単身王国を出て魔物の討伐に出た数も数えきれないほど。
たくましくなり、美しくなり、この王国を継ぐ者としての素質は十分に備えている。
「行って来ます」
グラースと踊っていたラスの手をやわらかく掴むと引きつった表情で思いきり睨みつけてきた。
「触んないで!」
「僕の話を聞いて!!」
「…っ!」
音楽が止み、グラースがそっと離れると壁に寄りかかり、腕を組んで静観の構えを見せた。
リロイはラスの白い頬がぶるぶる震えているのを見つめながら、ゆっくりと、告白した。
「2年待った。ラス…僕は君を妻にする。この国を継いで、影の代わりに君と王国を守って行く」
「!!私と…結婚!?いやよ!笑えない冗談言わないで!離して!」
「君がいやだと言ってもそうする!僕は君を託されたんだ!」
「いや!コー、助けて!コー!!」
絶叫が木霊する。
カイとソフィーはそれだけで幸せで、
そしてラスはその時グラースとダンスをしていた。
「君もあんな風に踊りたいかい?」
「…僕はラスに求婚します。陛下…陛下は許可を下さいましたよね?」
「そうだね…だけどさっきの様子から察するにそれは無理だと思わないかい?君は白騎士団の隊長で、“勇者”として戻ってきた。ラスに求婚する資格はあるけれど、ラスは受け入れるかな?」
「魔王亡き今、ラスを幸せにできるのは…僕だけです。陛下、よろしいですね?」
――未だに魔王の骸は見つかっていない。
だとすれば、永遠の命を持った魔王が生きている可能性は高いが…ここ2年間、音沙汰もない。
それに元々ラスとリロイをいつか夫婦に、とも思っていた。
時間をかけて説得すれば、ラスもいずれは魔王の死を理解し、リロイを受け入れるかもしれない。
「ラスを必ず幸せに。それが守れるのであれば、言うといい」
「ありがとうございます。…強引に迫ることもあると思いますが、ご理解を」
リロイもまたゴールドストーン王国に戻って来て何もしなかったわけではない。
旅の間に魔物との戦いを経験し、力不足を痛感し、単身王国を出て魔物の討伐に出た数も数えきれないほど。
たくましくなり、美しくなり、この王国を継ぐ者としての素質は十分に備えている。
「行って来ます」
グラースと踊っていたラスの手をやわらかく掴むと引きつった表情で思いきり睨みつけてきた。
「触んないで!」
「僕の話を聞いて!!」
「…っ!」
音楽が止み、グラースがそっと離れると壁に寄りかかり、腕を組んで静観の構えを見せた。
リロイはラスの白い頬がぶるぶる震えているのを見つめながら、ゆっくりと、告白した。
「2年待った。ラス…僕は君を妻にする。この国を継いで、影の代わりに君と王国を守って行く」
「!!私と…結婚!?いやよ!笑えない冗談言わないで!離して!」
「君がいやだと言ってもそうする!僕は君を託されたんだ!」
「いや!コー、助けて!コー!!」
絶叫が木霊する。