魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
リロイが理解できないようなことを言った。
腕を掴まれていることもいやだったし、自分を見てほしくもない。
なのに、
なのに…
この男は…
コハクを殺したかもしれない男は自分にプロポーズをしてきたのだ。
――悲鳴が次々とラスの口から飛び出た。
「リロイと結婚するくらいなら死ぬから!死んで、いつかまたコーと出会うの!ずっと待つの!コーと会える日を…!」
「ラス!君も見ただろう!?あの血の量からして影は生きてない!君もわかっているだろう!?」
「いや!コーは死んでないもん!私を傷つけないで!結婚なんてしないんだから!私はコーのお嫁さんになるの、離して!グラース、グラース!!」
「その手を離してくれ」
いつ抜いたのか、抜身の刀身がリロイの首にぴたりとあてられた。
ソフィーが小さな悲鳴を上げ、カイは素早く歩み寄るとラスの手を掴んでいる右腕をやんわりと外した。
「そこまでにしてやってほしい。ラス…今日はもう休みなさい。結婚のことは今深く考えなくてもいいからね。時間が解決してくれるだろう」
「解決なんてしない!コーは死んでないんだから!」
大粒の涙が次々と溢れ、カイとグラースが目配せをするとラスの手を引いて食卓の間からグラースが出て行った。
「…陛下…僕は…」
「勇んだね。あの子にはまだまだ時間が必要だ。君もこれ以上ラスを待てないのなら…結婚は諦めてほしい」
「…」
魔王死した今もこうして旅の仲間たちは悩まされ続けている。
ラスの慟哭は止まず、ラスはずっと、呼び続けていた。
「神様…お願い、コーを返して…!今すぐコーに会わせて…!コー、コー…!」
「…今日はもう寝るんだ。私がずっと傍に居てやる」
神に祈るラスは痛々しく、部屋に着くとすぐにバルコニーに出て膝を折ると夜空を見上げた。
寒さも厭わず、白い息を吐きながら神に祈りを捧げ続ける。
「神様…神様…」
その時、ラスの瞳に何かが羽ばたいているのが見えた。
「…?」
錯覚かと思い目を擦ると、それはもう消えていた。
祈りは、届くのか。
腕を掴まれていることもいやだったし、自分を見てほしくもない。
なのに、
なのに…
この男は…
コハクを殺したかもしれない男は自分にプロポーズをしてきたのだ。
――悲鳴が次々とラスの口から飛び出た。
「リロイと結婚するくらいなら死ぬから!死んで、いつかまたコーと出会うの!ずっと待つの!コーと会える日を…!」
「ラス!君も見ただろう!?あの血の量からして影は生きてない!君もわかっているだろう!?」
「いや!コーは死んでないもん!私を傷つけないで!結婚なんてしないんだから!私はコーのお嫁さんになるの、離して!グラース、グラース!!」
「その手を離してくれ」
いつ抜いたのか、抜身の刀身がリロイの首にぴたりとあてられた。
ソフィーが小さな悲鳴を上げ、カイは素早く歩み寄るとラスの手を掴んでいる右腕をやんわりと外した。
「そこまでにしてやってほしい。ラス…今日はもう休みなさい。結婚のことは今深く考えなくてもいいからね。時間が解決してくれるだろう」
「解決なんてしない!コーは死んでないんだから!」
大粒の涙が次々と溢れ、カイとグラースが目配せをするとラスの手を引いて食卓の間からグラースが出て行った。
「…陛下…僕は…」
「勇んだね。あの子にはまだまだ時間が必要だ。君もこれ以上ラスを待てないのなら…結婚は諦めてほしい」
「…」
魔王死した今もこうして旅の仲間たちは悩まされ続けている。
ラスの慟哭は止まず、ラスはずっと、呼び続けていた。
「神様…お願い、コーを返して…!今すぐコーに会わせて…!コー、コー…!」
「…今日はもう寝るんだ。私がずっと傍に居てやる」
神に祈るラスは痛々しく、部屋に着くとすぐにバルコニーに出て膝を折ると夜空を見上げた。
寒さも厭わず、白い息を吐きながら神に祈りを捧げ続ける。
「神様…神様…」
その時、ラスの瞳に何かが羽ばたいているのが見えた。
「…?」
錯覚かと思い目を擦ると、それはもう消えていた。
祈りは、届くのか。