魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「ベルル、頼んでたやつ書けたか?」
「ちゃんと書きましたよ。はいこれ」
コハクがベルルに何か頼みごとをしていたらしく、ラスの肩に座っていたベルルが大きくなると、その手には1枚の紙が握られていた。
「わあ、可愛い字!それと…水晶?」
立体的に書かれたイエローストーン王国を象徴する城の絵と共に、その頂上に燦然と輝く水晶が描かれていた。
そして『生まれ変わったクリスタルパレスに住みませんか?』という文字。
ラスが感心しているとリロイたちも寄って来てその絵を見た途端、リロイが1歩後ずさった。
「リロイ?どうしたの?」
「それは…水晶だよね?僕はもうそれに関わりたくないんだ」
一時期水晶に意識を乗っ取られ、コハクを刺してしまったリロイにとってはもう関わりたくない存在の水晶。
恐らく昨日ラスの胸に挟まっていたもので、この王国の象徴に掲げられていることを知り、顔色が曇ったリロイを説得するべく寄ってたかってリロイを取り囲んだ。
「てめえ今さら協力しねえとか言うなよな」
「や、だけどそれが関わるって聞いてなかったし…また意識を乗っ取られたら僕はもう死んでしまいたくなる」
綺麗な顔をしたリロイが俯き、金の瞳が伏せられてしまうと、小さな頃から両親よりもずっと傍に居てくれたリロイの腕に絡み付いたラスは首が取れてしまいそうなほどに首を振ってそれを否定した。
「リロイは強いから大丈夫だよ。コーとお友達になれたんでしょ?喧嘩してもじゃれ合ってるだけでしょ?ここを再建するまでは…傍に居てくれるんでしょ?」
語尾は鼻声で掻き消え、今にも泣き出しそうなラスを抱っこしたコハクは、ベルルが書いた1枚の紙に向けてひゅっと指先を振るとふわりと宙に浮き、その紙を撫でるように掌を翳すとぱちんと指を鳴らした。
「コピーの魔法だわ…」
「1日で消えちまうけどな。下の方よく見てみろよ」
「あ…、僕たちの名前が…」
『〝ゴールドストーン王国 王女ラス”、“ゴールドストーン王国 白騎士団隊長リロイ”、“レッドストーン王国王女 ティアラ”、“大賢者ローズマリー”、“博識の者オーディン”が王国再建を支援します』
…勝手に連盟されていた。
「ちゃんと書きましたよ。はいこれ」
コハクがベルルに何か頼みごとをしていたらしく、ラスの肩に座っていたベルルが大きくなると、その手には1枚の紙が握られていた。
「わあ、可愛い字!それと…水晶?」
立体的に書かれたイエローストーン王国を象徴する城の絵と共に、その頂上に燦然と輝く水晶が描かれていた。
そして『生まれ変わったクリスタルパレスに住みませんか?』という文字。
ラスが感心しているとリロイたちも寄って来てその絵を見た途端、リロイが1歩後ずさった。
「リロイ?どうしたの?」
「それは…水晶だよね?僕はもうそれに関わりたくないんだ」
一時期水晶に意識を乗っ取られ、コハクを刺してしまったリロイにとってはもう関わりたくない存在の水晶。
恐らく昨日ラスの胸に挟まっていたもので、この王国の象徴に掲げられていることを知り、顔色が曇ったリロイを説得するべく寄ってたかってリロイを取り囲んだ。
「てめえ今さら協力しねえとか言うなよな」
「や、だけどそれが関わるって聞いてなかったし…また意識を乗っ取られたら僕はもう死んでしまいたくなる」
綺麗な顔をしたリロイが俯き、金の瞳が伏せられてしまうと、小さな頃から両親よりもずっと傍に居てくれたリロイの腕に絡み付いたラスは首が取れてしまいそうなほどに首を振ってそれを否定した。
「リロイは強いから大丈夫だよ。コーとお友達になれたんでしょ?喧嘩してもじゃれ合ってるだけでしょ?ここを再建するまでは…傍に居てくれるんでしょ?」
語尾は鼻声で掻き消え、今にも泣き出しそうなラスを抱っこしたコハクは、ベルルが書いた1枚の紙に向けてひゅっと指先を振るとふわりと宙に浮き、その紙を撫でるように掌を翳すとぱちんと指を鳴らした。
「コピーの魔法だわ…」
「1日で消えちまうけどな。下の方よく見てみろよ」
「あ…、僕たちの名前が…」
『〝ゴールドストーン王国 王女ラス”、“ゴールドストーン王国 白騎士団隊長リロイ”、“レッドストーン王国王女 ティアラ”、“大賢者ローズマリー”、“博識の者オーディン”が王国再建を支援します』
…勝手に連盟されていた。