魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
愛をこの手に
リロイとティアラが執務室に着くと、ティアラの母であるフィリアは窓辺に立ち、綺麗に手入れされた正門前の噴水を見つめていた。
その後ろ姿は気高く、美しい。
ティアラもいずれあんな感じになるのかと思うと、少しだけ存在が遠くなったような気がした。
「お母様、戻って参りました」
「お帰りなさい。あら…あなたの顔が晴れやかなのを久々に見たわ。婚約が決まってからと言うものの塞ぎ込んでいたのに」
「お、お母様、その話は…」
リロイに知られたくないし、リロイにしたくない婚約話を話題に出されて焦るティアラがおかしくてフィリアは笑いながら横に立っているリロイに目を遣り、手を差し伸べた。
「立派な白騎士になりましたね。あなたにはもう全てが備わっている。ゴールドストーン王国もこれでさらに安泰でしょう」
「…フィリア女王陛下、今日はお願いがあって立ち寄らせて頂きました。ティアラ王女はまだ王国へお返しすることができません。僕が必ずお守りいたしますのでもうしばらく…」
「ティアラが自身で選んだことならば、納得がいくまでやらせるつもりですよ。さあ、話を聞きます」
――真っ白なソファに座り、王国再建計画を事細かにリロイが話している間、ティアラはリロイの隣で何度も何度も、リロイの手や横顔を盗み見ていた。
…2年の歳月が流れ、もう吹っ切れたと自負していたのだが…その自信はリロイに会ってあっさりと瓦解したこと…そろそろ認めなければ。
自分に正直になり、リロイのように思いを昇華させ、前へと進んで行かなければならない。
この男を想い続けても、今後自分が選ばれることはないだろう。
ラスだけの白騎士なのだから――
「イエローストーン王国のことは私も考えていました。その計画を…あの魔王が?」
「ラスとの結婚を条件に1年…いえ、半年でやると言っています。影のことはともかく、ラスもそう望んでいるので僕も協力しますし、ティアラやグラース王女、大賢者や博識の者も加わっています」
「沢山理解者が居るのね。ティアラ…協力したいのね?」
「お母様…お願いいたします」
フィリアがまた笑った。
「私たちは…本当によく似ているわ」
過去を重ねる――
その後ろ姿は気高く、美しい。
ティアラもいずれあんな感じになるのかと思うと、少しだけ存在が遠くなったような気がした。
「お母様、戻って参りました」
「お帰りなさい。あら…あなたの顔が晴れやかなのを久々に見たわ。婚約が決まってからと言うものの塞ぎ込んでいたのに」
「お、お母様、その話は…」
リロイに知られたくないし、リロイにしたくない婚約話を話題に出されて焦るティアラがおかしくてフィリアは笑いながら横に立っているリロイに目を遣り、手を差し伸べた。
「立派な白騎士になりましたね。あなたにはもう全てが備わっている。ゴールドストーン王国もこれでさらに安泰でしょう」
「…フィリア女王陛下、今日はお願いがあって立ち寄らせて頂きました。ティアラ王女はまだ王国へお返しすることができません。僕が必ずお守りいたしますのでもうしばらく…」
「ティアラが自身で選んだことならば、納得がいくまでやらせるつもりですよ。さあ、話を聞きます」
――真っ白なソファに座り、王国再建計画を事細かにリロイが話している間、ティアラはリロイの隣で何度も何度も、リロイの手や横顔を盗み見ていた。
…2年の歳月が流れ、もう吹っ切れたと自負していたのだが…その自信はリロイに会ってあっさりと瓦解したこと…そろそろ認めなければ。
自分に正直になり、リロイのように思いを昇華させ、前へと進んで行かなければならない。
この男を想い続けても、今後自分が選ばれることはないだろう。
ラスだけの白騎士なのだから――
「イエローストーン王国のことは私も考えていました。その計画を…あの魔王が?」
「ラスとの結婚を条件に1年…いえ、半年でやると言っています。影のことはともかく、ラスもそう望んでいるので僕も協力しますし、ティアラやグラース王女、大賢者や博識の者も加わっています」
「沢山理解者が居るのね。ティアラ…協力したいのね?」
「お母様…お願いいたします」
フィリアがまた笑った。
「私たちは…本当によく似ているわ」
過去を重ねる――