魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
“私たちは本当によく似ている”
その言葉はティアラの胸を打ち、昔から聴きたくて仕方のないことを聞くことができるチャンスを得たのだと知った。
現ゴールドストーン王国の国王であるカイと共に魔王城まで共に旅をして、共に魔王を倒した英雄譚…
知っているのは大まかなことで、母がカイに恋していたことは知ってはいたが…2人の間で何が起こり、何を想ったのかは怖くて…聴けずにいたことだ。
「お母様…そのお話は…」
「…もう時効よ。リロイ…あなたもこれはここだけの話にしておいてくださいね」
「え…、は、はい」
フィリアはゆっくりと息を吐き、胸の真ん中に無残に走る傷跡をローブの上からなぞり、瞳を閉じた。
「カイは元々名の通った剣士で、私は魔法を使えなくなった司祭。魔王が魔法を使って世界の全土に世界征服宣言をしてから、カイが起ったわ。それまで私はカイのことをあまり知らなかったの」
聞き逃すまいと身を乗り出すティアラの様子に笑みが零れたフィリアは、同じように真剣な顔で見つめて来るリロイに…カイの姿を重ねた。
「あなたのお父様は私の同僚で、共にカイを訪ねて魔王を打倒しようと誓い、ゴールドストーン王国へ行ったの。そこで…カイをはじめて見たわ。…私の一目惚れだった」
ティアラの胸がきゅんと音を立て、父ではない男に恋をした母は今…母ではなく、“女”として、過去を語る。
「けれど、私と会う前に…カイは当時王女だったソフィーと謁見し、2人は恋に落ちていたの。私の入り込む余地なんて全くなかったけれど…私は諦めることができなくて、旅の間に何度も想いを告白してはカイを困らせたわ。ふふ、私も若かったのよ」
「お母様…」
「似ているでしょう?けれど私も結婚して、幸せになって、あなたが生まれたわ。カイも同じ。ねえティアラ…」
フィリアは言葉を止め、ティアラの隣に移動すると身体に腕を回し、引き寄せながら頬にキスをした。
「無理しなくてもいいわ。私もまだ若いのだから、女王の地位はまだまだあなたには渡さないわよ。だから…好きなように生きなさい。王国と国民のことはお母様に任せなさい」
「…ありがとう…お母様」
重ね合わせる――
その言葉はティアラの胸を打ち、昔から聴きたくて仕方のないことを聞くことができるチャンスを得たのだと知った。
現ゴールドストーン王国の国王であるカイと共に魔王城まで共に旅をして、共に魔王を倒した英雄譚…
知っているのは大まかなことで、母がカイに恋していたことは知ってはいたが…2人の間で何が起こり、何を想ったのかは怖くて…聴けずにいたことだ。
「お母様…そのお話は…」
「…もう時効よ。リロイ…あなたもこれはここだけの話にしておいてくださいね」
「え…、は、はい」
フィリアはゆっくりと息を吐き、胸の真ん中に無残に走る傷跡をローブの上からなぞり、瞳を閉じた。
「カイは元々名の通った剣士で、私は魔法を使えなくなった司祭。魔王が魔法を使って世界の全土に世界征服宣言をしてから、カイが起ったわ。それまで私はカイのことをあまり知らなかったの」
聞き逃すまいと身を乗り出すティアラの様子に笑みが零れたフィリアは、同じように真剣な顔で見つめて来るリロイに…カイの姿を重ねた。
「あなたのお父様は私の同僚で、共にカイを訪ねて魔王を打倒しようと誓い、ゴールドストーン王国へ行ったの。そこで…カイをはじめて見たわ。…私の一目惚れだった」
ティアラの胸がきゅんと音を立て、父ではない男に恋をした母は今…母ではなく、“女”として、過去を語る。
「けれど、私と会う前に…カイは当時王女だったソフィーと謁見し、2人は恋に落ちていたの。私の入り込む余地なんて全くなかったけれど…私は諦めることができなくて、旅の間に何度も想いを告白してはカイを困らせたわ。ふふ、私も若かったのよ」
「お母様…」
「似ているでしょう?けれど私も結婚して、幸せになって、あなたが生まれたわ。カイも同じ。ねえティアラ…」
フィリアは言葉を止め、ティアラの隣に移動すると身体に腕を回し、引き寄せながら頬にキスをした。
「無理しなくてもいいわ。私もまだ若いのだから、女王の地位はまだまだあなたには渡さないわよ。だから…好きなように生きなさい。王国と国民のことはお母様に任せなさい」
「…ありがとう…お母様」
重ね合わせる――