魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
朝目が覚めると…ベルルが心配そうな顔で目じりを拭ってきた。
「泣いてたよ。いやな夢でも見た?」
「…ううん…コーが夢に出て来たの。2年ぶりだったの。やっとコーに会えた…」
両手で顔を覆って泣くラスの頭を右往左往しつつベルルが撫でてやっていると、ドアがノックされた。
「ラス、入るぞ」
そして部屋へ入ってきたグラースの姿は…武装し、剣を手にしていた。
「ベルルか。今までどこに居た?」
「…コハク様を捜してた。まだ見つけれてないけど…」
「ちょうどいい。ラス、私に1週間ほど休暇をくれ。必ず戻って来るから」
「え…?どこに行くの…?」
今までこの2年間ずっと傍に居てくれたのに――
泣き腫らした顔でベッドから降りると女性にしては背の高いグラースの腕を掴んで揺さぶった。
「どうして?グラース、離れてかないで!」
「ベルルが私の代わりに傍に居てくれる。私には私にしかできないことを、してくる」
気高く高潔なグラースの表情には確かな決意の色が上り、だがラスは納得ができずに理由を問い質し続ける。
「どこに行くの!?」
「…私は魔王からお前のことを頼むと言われた。だから離れて行ったりしない。理由は聞かないでくれ、私を信じてくれ」
「ラス、行かせてあげようよ。あたしが傍に居るから」
ベルルに諭され、細いがやわらかなグラースの身体を1度強く抱きしめると唇を震わせながら離れた。
「グラースだって…休みたいよね。いつも私のお世話をしてくれてありがとう」
「まるで一生の別れのようなことを言うな。必ず戻って来る」
――コハクも、何度もそう言って居なくなった。
“一生ずっとだ。一生チビの傍に居る”
一生なんて、ない。
永遠なんて、ない。
…だがそれを認めてしまったら…
このコハクを想う愛も、永遠ではないのだろうか――?
「…」
「1週間後にまた。ベルル、頼んだ」
「うん」
グラースが去り、ベルルがラスの手を引っ張った。
「外に行こ」
コハクの話を、沢山してあげよう。
「泣いてたよ。いやな夢でも見た?」
「…ううん…コーが夢に出て来たの。2年ぶりだったの。やっとコーに会えた…」
両手で顔を覆って泣くラスの頭を右往左往しつつベルルが撫でてやっていると、ドアがノックされた。
「ラス、入るぞ」
そして部屋へ入ってきたグラースの姿は…武装し、剣を手にしていた。
「ベルルか。今までどこに居た?」
「…コハク様を捜してた。まだ見つけれてないけど…」
「ちょうどいい。ラス、私に1週間ほど休暇をくれ。必ず戻って来るから」
「え…?どこに行くの…?」
今までこの2年間ずっと傍に居てくれたのに――
泣き腫らした顔でベッドから降りると女性にしては背の高いグラースの腕を掴んで揺さぶった。
「どうして?グラース、離れてかないで!」
「ベルルが私の代わりに傍に居てくれる。私には私にしかできないことを、してくる」
気高く高潔なグラースの表情には確かな決意の色が上り、だがラスは納得ができずに理由を問い質し続ける。
「どこに行くの!?」
「…私は魔王からお前のことを頼むと言われた。だから離れて行ったりしない。理由は聞かないでくれ、私を信じてくれ」
「ラス、行かせてあげようよ。あたしが傍に居るから」
ベルルに諭され、細いがやわらかなグラースの身体を1度強く抱きしめると唇を震わせながら離れた。
「グラースだって…休みたいよね。いつも私のお世話をしてくれてありがとう」
「まるで一生の別れのようなことを言うな。必ず戻って来る」
――コハクも、何度もそう言って居なくなった。
“一生ずっとだ。一生チビの傍に居る”
一生なんて、ない。
永遠なんて、ない。
…だがそれを認めてしまったら…
このコハクを想う愛も、永遠ではないのだろうか――?
「…」
「1週間後にまた。ベルル、頼んだ」
「うん」
グラースが去り、ベルルがラスの手を引っ張った。
「外に行こ」
コハクの話を、沢山してあげよう。