魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
2人でサンドウィッチを食べ、コハクの話を楽しそうにしているとベルルが急に胸をわし掴みにしてきた。
「きゃっ!」
「あんた…育ったわねえ。コハク様が見たら逆に嘆くわよ。“俺が大きくする予定だったのに!”って」
「オーディンさんから貰った蜂蜜のおかげなの。でももう無くなっちゃいそうで…」
外はまだ寒かったが日中陽が昇るとそれなりに暖かくなる。
所々雪が残る中、立ち上がると自分の影を見下ろし、いつものようにまた話しかけた。
「ねえコー、ベルルが来てくれたよ。そのおかげなのかな、コーの夢も見たよ。オーディンさんを捜さなきゃ。絶対にコーを見つけるからね」
「ふふっ、あんた毎日そんなことしてたの?コハク様が知ったらあんたの影にやきもち妬くわよ」
ラスもベルルもそんなコハクの性格をよく知っているので、つい笑い声が漏れるとそこにあたたかな空気を切り裂く者がやって来た。
「ラス…」
「…何しに来たの、あっちに行ってて」
純白のマントに金の髪と金の瞳を持った次期国王リロイ。
ベルルにはリロイの花嫁にさせられるかもしれないことはすでに説明してあり、コハクの代わりにラスを守らなければならないという使命感に燃えていたベルルが両腕を広げて立ちはだかった。
「それ以上近付かないで。殺すわよ」
「…何をしに来た?もう影は居ないんだから妖精の国に戻ればいいのに」
「コーは死んでない」
断固とした口調で断言したラスに眉を上げたリロイが草を踏みながらラスに近づいた。
「あたしは戻らない。コハク様は生きててラスの夢の中に現れたんだから、あたしたちはその方法をこれから探していく。ラスはコハク様のものなんだから絶対触らないで」
「影が…生きている…!?」
――ラスの顔に笑顔が戻ったのはそのせいなのか?
リロイは衝撃を受け、瞳を見開いた。
ラスはそんなリロイを毅然とした表情で見上げると…微笑んだ。
「ら、ラス…」
「だから私はリロイのお嫁さんにはならないの。この王国はリロイにあげる。国民を幸せにしてあげてね」
リロイの胸はきりりと痛んだ。
「きゃっ!」
「あんた…育ったわねえ。コハク様が見たら逆に嘆くわよ。“俺が大きくする予定だったのに!”って」
「オーディンさんから貰った蜂蜜のおかげなの。でももう無くなっちゃいそうで…」
外はまだ寒かったが日中陽が昇るとそれなりに暖かくなる。
所々雪が残る中、立ち上がると自分の影を見下ろし、いつものようにまた話しかけた。
「ねえコー、ベルルが来てくれたよ。そのおかげなのかな、コーの夢も見たよ。オーディンさんを捜さなきゃ。絶対にコーを見つけるからね」
「ふふっ、あんた毎日そんなことしてたの?コハク様が知ったらあんたの影にやきもち妬くわよ」
ラスもベルルもそんなコハクの性格をよく知っているので、つい笑い声が漏れるとそこにあたたかな空気を切り裂く者がやって来た。
「ラス…」
「…何しに来たの、あっちに行ってて」
純白のマントに金の髪と金の瞳を持った次期国王リロイ。
ベルルにはリロイの花嫁にさせられるかもしれないことはすでに説明してあり、コハクの代わりにラスを守らなければならないという使命感に燃えていたベルルが両腕を広げて立ちはだかった。
「それ以上近付かないで。殺すわよ」
「…何をしに来た?もう影は居ないんだから妖精の国に戻ればいいのに」
「コーは死んでない」
断固とした口調で断言したラスに眉を上げたリロイが草を踏みながらラスに近づいた。
「あたしは戻らない。コハク様は生きててラスの夢の中に現れたんだから、あたしたちはその方法をこれから探していく。ラスはコハク様のものなんだから絶対触らないで」
「影が…生きている…!?」
――ラスの顔に笑顔が戻ったのはそのせいなのか?
リロイは衝撃を受け、瞳を見開いた。
ラスはそんなリロイを毅然とした表情で見上げると…微笑んだ。
「ら、ラス…」
「だから私はリロイのお嫁さんにはならないの。この王国はリロイにあげる。国民を幸せにしてあげてね」
リロイの胸はきりりと痛んだ。