魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
今まで自分のことで精いっぱいだったラスはリロイの視線を背中に受けながらベルルと一緒に部屋へ戻り、机の前に座った。
「何するの?」
「ティアラにお手紙を書くの。何度か会いに来てくれたんだけど…私はそれどころじゃなかったから」
「そっか。でもあたしはあんたの傍から離れないから手紙は届けてあげられないよ」
「うん、いいの大丈夫」
手紙にはただ一言だけ、書いた。
“ティアラ、会いに来て”
これだけ書けば伝わるだろうと思った。
長い間共に旅をしてきたティアラ――
リロイを想い、今はどんな心境でいるのか…
ようやくティアラの気持ちにまで気が回るようになったのは、コハクが夢に出てきてくれたおかげだ。
「ベルルはここに居て。私は大丈夫だから」
「…ん、わかった。すぐ戻って来なよ」
手を振ってラスが出て行くとベルルはすかさず小さな姿に戻り、透明な羽を羽ばたかせながらラスを尾行した。
そしてラスが向かったのは…玉座の間だ。
そこにはカイとソフィーが玉座につき、高官から様々なやりとりを交わしている最中だったが、ラスを見止めるとすぐに手を広げて迎え入れてくれた。
「ラス!どうしたんだい、こっちへおいで」
「お父様…お願いがあるの」
――2年ぶりに自発的に頼みごとをしてきたことが嬉しくて、なんでも叶えてやろうと決めたカイがラスを膝に座らせると、ソフィーが手を握った。
「言ってごらん、お父様が叶えてあげるよ」
「このお手紙をレッドストーン王国へ届けてほしいの。ティアラの所に」
何かが動き出したことは先ほどリロイから聞いていた。
ラスをリロイの花嫁に――
魔王が本当に死んだのであればそうしようと思っていたカイは、ラスが望みを捨てていないことと血色が戻ってきた表情に頬を緩ませ、肩で息をついた。
「…諦めていないんだね?」
「お父様は私の味方?それともリロイの味方?私の味方ならお願い、このお手紙をティアラに…」
「もちろん届けてあげるよ。ラス…君の願いが叶うようにお父様も祈っているからね」
親子3人で手を握り合い、抱き合った。
「何するの?」
「ティアラにお手紙を書くの。何度か会いに来てくれたんだけど…私はそれどころじゃなかったから」
「そっか。でもあたしはあんたの傍から離れないから手紙は届けてあげられないよ」
「うん、いいの大丈夫」
手紙にはただ一言だけ、書いた。
“ティアラ、会いに来て”
これだけ書けば伝わるだろうと思った。
長い間共に旅をしてきたティアラ――
リロイを想い、今はどんな心境でいるのか…
ようやくティアラの気持ちにまで気が回るようになったのは、コハクが夢に出てきてくれたおかげだ。
「ベルルはここに居て。私は大丈夫だから」
「…ん、わかった。すぐ戻って来なよ」
手を振ってラスが出て行くとベルルはすかさず小さな姿に戻り、透明な羽を羽ばたかせながらラスを尾行した。
そしてラスが向かったのは…玉座の間だ。
そこにはカイとソフィーが玉座につき、高官から様々なやりとりを交わしている最中だったが、ラスを見止めるとすぐに手を広げて迎え入れてくれた。
「ラス!どうしたんだい、こっちへおいで」
「お父様…お願いがあるの」
――2年ぶりに自発的に頼みごとをしてきたことが嬉しくて、なんでも叶えてやろうと決めたカイがラスを膝に座らせると、ソフィーが手を握った。
「言ってごらん、お父様が叶えてあげるよ」
「このお手紙をレッドストーン王国へ届けてほしいの。ティアラの所に」
何かが動き出したことは先ほどリロイから聞いていた。
ラスをリロイの花嫁に――
魔王が本当に死んだのであればそうしようと思っていたカイは、ラスが望みを捨てていないことと血色が戻ってきた表情に頬を緩ませ、肩で息をついた。
「…諦めていないんだね?」
「お父様は私の味方?それともリロイの味方?私の味方ならお願い、このお手紙をティアラに…」
「もちろん届けてあげるよ。ラス…君の願いが叶うようにお父様も祈っているからね」
親子3人で手を握り合い、抱き合った。