魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ベルルが徹底的にラスを守っている――
結果リロイはやはりラスに近づくことも許されず、そしてレッドストーン王国へ向けて使者が経ってから数日――
正門の前に馬車が止まり、そこから出て来た女性の姿に一瞬思わず息を詰まらせた。
「…ティアラ王女」
「お久しぶりです、リロイ。もう国王とお呼びした方がいいですか?」
やわらかく微笑んだティアラは2年前に比べるとまた一段と女らしくなり、耳の横でひとつに括られた真っ直ぐな黒髪は美しく、リロイはティアラの前に片膝をつき、手の甲にキスをした。
「いえ、現国王はカイ陛下です。僕にはまだ国王の資格なんて…」
「ラスと結婚してこの国を継ぐのでしょう?2年経ったのです、ラスだってそろそろ…」
「ティアラ!」
言葉を交わしていると王宮から飛び出してきたラスの勢いに驚き、強く抱きしめられると言葉を失った。
…今まで会ってくれなかったラスが部屋に閉じこもっていることは知っていたが…
目の前に居るラスは明るく、まるで2年前のラスに会えた気分になって目頭が熱くなる。
「少しは元気になったみたいで良かったわ。それに…ベルル…?」
「あんたも綺麗になったわね。ここじゃなんだから中に入って」
高圧的な態度は相変わらずだったが、ラスが嬉しそうに手を繋いできたので俯くリロイの脇をすり抜け、螺旋階段を上りながらひそりと話しかけた。
「リロイとは結婚しないの?」
「どうして?私にはコーが居るもん。ティアラだって知ってるでしょ?」
――一瞬ラスが狂ったのかと思ったが…
きょとん顔でぐいぐい手を引っ張るラスは外見こそとても綺麗になったが、中身はあの頃と同じようで嬉しくなりながら部屋へと引っ張り込まれた。
「ベルル、見張っててね」
「任せて」
「?ラス…?」
そしてラスは一度大きく深呼吸をすると、切り出した。
「コーは生きてるの。でもどこにいるかわからなくて…その方法を一緒に捜してほしいの」
「…え?だって魔王は…血が沢山…」
「ううん、絶対に生きてるの。だからティアラ…協力してほしいの」
真剣な瞳で――
結果リロイはやはりラスに近づくことも許されず、そしてレッドストーン王国へ向けて使者が経ってから数日――
正門の前に馬車が止まり、そこから出て来た女性の姿に一瞬思わず息を詰まらせた。
「…ティアラ王女」
「お久しぶりです、リロイ。もう国王とお呼びした方がいいですか?」
やわらかく微笑んだティアラは2年前に比べるとまた一段と女らしくなり、耳の横でひとつに括られた真っ直ぐな黒髪は美しく、リロイはティアラの前に片膝をつき、手の甲にキスをした。
「いえ、現国王はカイ陛下です。僕にはまだ国王の資格なんて…」
「ラスと結婚してこの国を継ぐのでしょう?2年経ったのです、ラスだってそろそろ…」
「ティアラ!」
言葉を交わしていると王宮から飛び出してきたラスの勢いに驚き、強く抱きしめられると言葉を失った。
…今まで会ってくれなかったラスが部屋に閉じこもっていることは知っていたが…
目の前に居るラスは明るく、まるで2年前のラスに会えた気分になって目頭が熱くなる。
「少しは元気になったみたいで良かったわ。それに…ベルル…?」
「あんたも綺麗になったわね。ここじゃなんだから中に入って」
高圧的な態度は相変わらずだったが、ラスが嬉しそうに手を繋いできたので俯くリロイの脇をすり抜け、螺旋階段を上りながらひそりと話しかけた。
「リロイとは結婚しないの?」
「どうして?私にはコーが居るもん。ティアラだって知ってるでしょ?」
――一瞬ラスが狂ったのかと思ったが…
きょとん顔でぐいぐい手を引っ張るラスは外見こそとても綺麗になったが、中身はあの頃と同じようで嬉しくなりながら部屋へと引っ張り込まれた。
「ベルル、見張っててね」
「任せて」
「?ラス…?」
そしてラスは一度大きく深呼吸をすると、切り出した。
「コーは生きてるの。でもどこにいるかわからなくて…その方法を一緒に捜してほしいの」
「…え?だって魔王は…血が沢山…」
「ううん、絶対に生きてるの。だからティアラ…協力してほしいの」
真剣な瞳で――