魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
オーディン組は、リロイたちのように事細かにクリスタルパレスの詳細を話すことがなかった。
その方が興味をそそられるだろうし、何よりもコハクが作り変えるあの廃墟と化した王国の再建に興味があったのは、オーディンだ。
「何でも屋さんったらまたろくな説明しなかったわね。あんなんでいいの?」
「いいんですよ。例えば興味があって見学に来たとして、上空には伝説の四精霊のサラマンダーが居ますし、地上にはコハク様率いる改造済みの魔物たちが居る。あの魔物たちがグリーンリバーを住みよい国にしたのは周知の事実ですし、見ればあんな国になるとわかります」
「まあどうでもいいけど。だけどコハクはやっぱりすごいわね。昼間は召喚しっぱなしだし、夜は夜でまた大変だし」
「そうですねえ、コハク様はあの程度ではくたばりませんよ。ちなみに私も意外とスタミナがありますけど。試してみますか?」
ケルベロスに乗ってクリスタルパレスに向かう道中、背後から腰を支えてくれていた手がつつっと動いて腰をなぞった。
互いにいやというほど長生きをしているので、ローズマリーは顔色を変えずその手をつねると肘鉄を食らわした。
「やめてちょうだい。男になんてもう興味ないのよ」
「コハク様にしか興味がない、と?コハク様はそんなに良かったんですか?」
――なおいやな気分になることばかり口にするオーディンは、最初から得体の知れない人物だった。
気になって文献を調べた結果何者なのかはわかったが…一応人であるコハクに従順に傅くような男ではない。
彼は…狂気を司る生き物なのだから。
「ねえ、何が目的なの?ラス王女たちには何もしないで。約束して」
「私が何かするとでも思っているんですか?心外ですねえ」
のほほんと否定したが、隻眼のグレーの瞳は楽しそうで、口角を上げて笑っていた。
強風の中目が開かないはずなのに開けていられるのは恐らくオーディンが使った魔法のせいなのだろう。
また腰に手を回してくると、耳元でひそりと囁いた。
「私が考えていることはいつか実行されるでしょう。ただしそれが善か悪かは個人の判断に委ねられます。あなたは私をどちらだと捉えるのでしょうか」
笑みを絶やさず――
その方が興味をそそられるだろうし、何よりもコハクが作り変えるあの廃墟と化した王国の再建に興味があったのは、オーディンだ。
「何でも屋さんったらまたろくな説明しなかったわね。あんなんでいいの?」
「いいんですよ。例えば興味があって見学に来たとして、上空には伝説の四精霊のサラマンダーが居ますし、地上にはコハク様率いる改造済みの魔物たちが居る。あの魔物たちがグリーンリバーを住みよい国にしたのは周知の事実ですし、見ればあんな国になるとわかります」
「まあどうでもいいけど。だけどコハクはやっぱりすごいわね。昼間は召喚しっぱなしだし、夜は夜でまた大変だし」
「そうですねえ、コハク様はあの程度ではくたばりませんよ。ちなみに私も意外とスタミナがありますけど。試してみますか?」
ケルベロスに乗ってクリスタルパレスに向かう道中、背後から腰を支えてくれていた手がつつっと動いて腰をなぞった。
互いにいやというほど長生きをしているので、ローズマリーは顔色を変えずその手をつねると肘鉄を食らわした。
「やめてちょうだい。男になんてもう興味ないのよ」
「コハク様にしか興味がない、と?コハク様はそんなに良かったんですか?」
――なおいやな気分になることばかり口にするオーディンは、最初から得体の知れない人物だった。
気になって文献を調べた結果何者なのかはわかったが…一応人であるコハクに従順に傅くような男ではない。
彼は…狂気を司る生き物なのだから。
「ねえ、何が目的なの?ラス王女たちには何もしないで。約束して」
「私が何かするとでも思っているんですか?心外ですねえ」
のほほんと否定したが、隻眼のグレーの瞳は楽しそうで、口角を上げて笑っていた。
強風の中目が開かないはずなのに開けていられるのは恐らくオーディンが使った魔法のせいなのだろう。
また腰に手を回してくると、耳元でひそりと囁いた。
「私が考えていることはいつか実行されるでしょう。ただしそれが善か悪かは個人の判断に委ねられます。あなたは私をどちらだと捉えるのでしょうか」
笑みを絶やさず――