魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
祈りが届く時
ティアラとてこの2年間、何もしなかったわけではない。
現国王であり母であるフィリアに今までの旅のことを打ち明け、魔王とラスが愛し合っていた事実を話すと母はこう言った。
『ラス王女のためにあなたが再び旅に出るならば、あなたの好きなようにしなさい』
…その覚悟をして、今日今ラスの目の前に立っている。
「本気なのね?」
「うん。ずっと思ってたの。コーは絶対に死んでないって。夢にコーが出て来たの。オーディンさんを捜してお話すればきっとわかるはず。だからティアラ…」
「…私なりにあの隻眼の男…オーディンのことを探ってみたわ。見て」
「え?」
3人がソファに座り、真っ白な神官衣と真っ白なコートを着ていたティアラが胸元に手を入れてラスに差し出したのは…
1冊の古めかしい羊皮紙の本だった。
ラスはそれが何だかわからなくて表紙に書いてある文字を口に乗せた。
『戦争と死の神オーディン』
――そういえばコハクにオーディンが何者なのか問うた時に言葉を濁したのを覚えている。
「オーディンさんは…神様なの?」
「いいえ、そう呼ばれているだけ。彼が隻眼な理由は様々な知識を得る代わりに代償として神に捧げた、と書かれてあるわ。だからオーディンを捜せば魔王が見つかるかもしれないというのはあながち外れではないと思うの」
ラスの顔にみるみる笑顔が広がってゆく。
今まで死んだ魚のような瞳をしていたグリーンの瞳は希望に輝き、羊皮紙製の本を膝に乗せると壊れないようにぼろぼろのページをゆっくりと捲った。
そこには右目が無く、老人の姿をしたオーディンの絵が描かれてあり、あの時会ったオーディンは銀の長い髪に左目に眼帯をつけ、マスクをしていたので、ラスは首を振った。
「これオーディンさんじゃないよ。オーディンさんはもっとかっこよくて若かったもん」
「オーディンはどんな姿にでも変化できるらしいわ。彼もきっと魔王の復活を信じて方法を模索しているんじゃないかしら」
徐々に徐々に、視界がクリアになってゆく。
皆が信じてくれている。
想いはきっと、叶うはず――
現国王であり母であるフィリアに今までの旅のことを打ち明け、魔王とラスが愛し合っていた事実を話すと母はこう言った。
『ラス王女のためにあなたが再び旅に出るならば、あなたの好きなようにしなさい』
…その覚悟をして、今日今ラスの目の前に立っている。
「本気なのね?」
「うん。ずっと思ってたの。コーは絶対に死んでないって。夢にコーが出て来たの。オーディンさんを捜してお話すればきっとわかるはず。だからティアラ…」
「…私なりにあの隻眼の男…オーディンのことを探ってみたわ。見て」
「え?」
3人がソファに座り、真っ白な神官衣と真っ白なコートを着ていたティアラが胸元に手を入れてラスに差し出したのは…
1冊の古めかしい羊皮紙の本だった。
ラスはそれが何だかわからなくて表紙に書いてある文字を口に乗せた。
『戦争と死の神オーディン』
――そういえばコハクにオーディンが何者なのか問うた時に言葉を濁したのを覚えている。
「オーディンさんは…神様なの?」
「いいえ、そう呼ばれているだけ。彼が隻眼な理由は様々な知識を得る代わりに代償として神に捧げた、と書かれてあるわ。だからオーディンを捜せば魔王が見つかるかもしれないというのはあながち外れではないと思うの」
ラスの顔にみるみる笑顔が広がってゆく。
今まで死んだ魚のような瞳をしていたグリーンの瞳は希望に輝き、羊皮紙製の本を膝に乗せると壊れないようにぼろぼろのページをゆっくりと捲った。
そこには右目が無く、老人の姿をしたオーディンの絵が描かれてあり、あの時会ったオーディンは銀の長い髪に左目に眼帯をつけ、マスクをしていたので、ラスは首を振った。
「これオーディンさんじゃないよ。オーディンさんはもっとかっこよくて若かったもん」
「オーディンはどんな姿にでも変化できるらしいわ。彼もきっと魔王の復活を信じて方法を模索しているんじゃないかしら」
徐々に徐々に、視界がクリアになってゆく。
皆が信じてくれている。
想いはきっと、叶うはず――