魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクが食卓の間に遅れて着いた時、ラスはグラースの隣で脚をぷらぷらさせながら両手でパンを持ってもぐもぐと口を動かしていた。
そして食卓の間に流れているのは、部屋の隅で椅子に座り、バイオリンやチェロなどを手に音楽を奏でている改造済みの魔物たち。
かつて余興に音楽を教えたことがあり、特に秀でた悪魔面や牛頭など強面の魔物たちがリズムに乗りながら音楽を奏でていた。
「みんな器用だよね。私も何か楽器覚えようかな」
「じゃあ今度俺が何か教えてやるよ。ちなみに俺はチビを弾くのが得意ー。可愛い声でさあ」
「影、パーティーの席で妙なことを口走るな」
正面に座っていたリロイに注意され、無言のまま目に見えぬスピードで魔王がナイフを投げると、それを予期していたリロイは首だけ動かして華麗にナイフを避けると逆にフォークを投げ返し、魔王の頬をかすり、壁に突き刺さった。
「この野郎…また俺を刺す気か。ああ?」
「コー、喧嘩は駄目。ぺろぺろしてあげるからこっちにおいで」
ラスが膝をぽんぽんと叩いて呼び寄せると、ラスを抱っこして膝に乗せて座り、血の滲む右頬を突き出した。
「早く!ぺろぺろ!」
「うん、わかった。じゃあ…」
「コハク様、一曲踊って下さらないかしら」
――コーフンしていたところに、一気に興ざめする甲高い声を投げかけて来たのは…腰に手をあて、冷たい瞳でラスを激しく見下ろしていたスノウだ。
そういうのに疎いラスはスノウの高圧的な態度に全く気付いておらず、コハクの膝から降りると無理矢理ティアラの椅子に半分座り、椅子取りゲームの装いできゃっきゃと遊び始めてしまった。
「でも俺はチビにこの傷…」
「コー、スノウと踊ったら?その後私と踊ろ。ね」
「あーもーっ、チビのお願いだったらまあいっか」
小さくウインクしてきたラスがラスなりにスノウを接待しようとしているのだとわかったコハクは仕方なくスノウの腰と手を取り、中央ホールへと進んだ。
「コハク様の腰…相変らず細くて素敵」
「べたべた触んな。さっさと終わらせるからな」
スノウはコハクのすげない態度にもめげず、妖艶な笑みを浮かべた。
そして食卓の間に流れているのは、部屋の隅で椅子に座り、バイオリンやチェロなどを手に音楽を奏でている改造済みの魔物たち。
かつて余興に音楽を教えたことがあり、特に秀でた悪魔面や牛頭など強面の魔物たちがリズムに乗りながら音楽を奏でていた。
「みんな器用だよね。私も何か楽器覚えようかな」
「じゃあ今度俺が何か教えてやるよ。ちなみに俺はチビを弾くのが得意ー。可愛い声でさあ」
「影、パーティーの席で妙なことを口走るな」
正面に座っていたリロイに注意され、無言のまま目に見えぬスピードで魔王がナイフを投げると、それを予期していたリロイは首だけ動かして華麗にナイフを避けると逆にフォークを投げ返し、魔王の頬をかすり、壁に突き刺さった。
「この野郎…また俺を刺す気か。ああ?」
「コー、喧嘩は駄目。ぺろぺろしてあげるからこっちにおいで」
ラスが膝をぽんぽんと叩いて呼び寄せると、ラスを抱っこして膝に乗せて座り、血の滲む右頬を突き出した。
「早く!ぺろぺろ!」
「うん、わかった。じゃあ…」
「コハク様、一曲踊って下さらないかしら」
――コーフンしていたところに、一気に興ざめする甲高い声を投げかけて来たのは…腰に手をあて、冷たい瞳でラスを激しく見下ろしていたスノウだ。
そういうのに疎いラスはスノウの高圧的な態度に全く気付いておらず、コハクの膝から降りると無理矢理ティアラの椅子に半分座り、椅子取りゲームの装いできゃっきゃと遊び始めてしまった。
「でも俺はチビにこの傷…」
「コー、スノウと踊ったら?その後私と踊ろ。ね」
「あーもーっ、チビのお願いだったらまあいっか」
小さくウインクしてきたラスがラスなりにスノウを接待しようとしているのだとわかったコハクは仕方なくスノウの腰と手を取り、中央ホールへと進んだ。
「コハク様の腰…相変らず細くて素敵」
「べたべた触んな。さっさと終わらせるからな」
スノウはコハクのすげない態度にもめげず、妖艶な笑みを浮かべた。