魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクの膝に乗っているのは、一糸纏わぬスノウの姿――
唇を重ね合い、コハクの手はスノウの腰に触れ、今にもソファに倒れ込んで、絶対に見たくないことをはじめてしまいそうな勢いがあった。
…いや、もう絶対に見たくないものを…見てしまった…。
――ラスは食卓の間から出た後地下へ行き、コハクが居なかったので螺旋階段を上がって自室へ行こうとしていたのだが…
その最中、ドアが少しだけ開いている客室を見つけたので、チャンスだと思ってスノウの相談事を聴こうとそっと近づいてみると…この様だ。
「どう、して…」
コハクが…
コハクが裏切った。
あんなに何度も“愛してる”と言ってくれたのに。
あんなに何度も毎夜毎夜愛してくれたのに。
…やはり、この男を夢中にさせることのできるような女にはなれなかったのか。
両手で口を覆い、信じられない思いで後ずさりをすると、飾られていた花瓶にぶつかってしまい、盛大な音を立てて割れると…ドアの隙間からコハクと目が合った。
「チ、ビ…っ」
――逃げ出した。
脚がもつれながらなんとかその場から早く去ろうと走り出し、途中で転んでしまうと穿いていた白いハイヒールが脱げてしまい、膝を強打した。
「チビ!違うんだ、これは…」
「…やだ…話しかけないで…」
「…チビ?俺の話を聴いて…」
「いや!話しかけないで!…嫌い。大嫌い!!」
「…!」
喉の奥から迸ったのは、絶対的な嫌悪感。
ラスの口からそんな怨嗟の響きが混ざった言葉を聴くことになってしまったコハクは立ち尽くし、衝撃を受けた。
――ラスと目が合った時、身体の底から沸き起こった恐怖を感じたコハクは瞬間的にスノウを突き飛ばして言い訳をしようとラスを追いかけたが…
転び、立ち上がれずにいたラスはきっと顔を上げ、“大嫌い”と言ったのだ。
冗談ではない。
それほどまでに声は嫌悪に濡れ、いつもはよく口の回るコハクは呆然とすることしかできず、騒ぎを聴きつけたリロイが螺旋階段を駆け上がって来ると…事態を悟った。
「ラス…」
「!リロイ!」
自分とは違う手が、選ばれる。
唇を重ね合い、コハクの手はスノウの腰に触れ、今にもソファに倒れ込んで、絶対に見たくないことをはじめてしまいそうな勢いがあった。
…いや、もう絶対に見たくないものを…見てしまった…。
――ラスは食卓の間から出た後地下へ行き、コハクが居なかったので螺旋階段を上がって自室へ行こうとしていたのだが…
その最中、ドアが少しだけ開いている客室を見つけたので、チャンスだと思ってスノウの相談事を聴こうとそっと近づいてみると…この様だ。
「どう、して…」
コハクが…
コハクが裏切った。
あんなに何度も“愛してる”と言ってくれたのに。
あんなに何度も毎夜毎夜愛してくれたのに。
…やはり、この男を夢中にさせることのできるような女にはなれなかったのか。
両手で口を覆い、信じられない思いで後ずさりをすると、飾られていた花瓶にぶつかってしまい、盛大な音を立てて割れると…ドアの隙間からコハクと目が合った。
「チ、ビ…っ」
――逃げ出した。
脚がもつれながらなんとかその場から早く去ろうと走り出し、途中で転んでしまうと穿いていた白いハイヒールが脱げてしまい、膝を強打した。
「チビ!違うんだ、これは…」
「…やだ…話しかけないで…」
「…チビ?俺の話を聴いて…」
「いや!話しかけないで!…嫌い。大嫌い!!」
「…!」
喉の奥から迸ったのは、絶対的な嫌悪感。
ラスの口からそんな怨嗟の響きが混ざった言葉を聴くことになってしまったコハクは立ち尽くし、衝撃を受けた。
――ラスと目が合った時、身体の底から沸き起こった恐怖を感じたコハクは瞬間的にスノウを突き飛ばして言い訳をしようとラスを追いかけたが…
転び、立ち上がれずにいたラスはきっと顔を上げ、“大嫌い”と言ったのだ。
冗談ではない。
それほどまでに声は嫌悪に濡れ、いつもはよく口の回るコハクは呆然とすることしかできず、騒ぎを聴きつけたリロイが螺旋階段を駆け上がって来ると…事態を悟った。
「ラス…」
「!リロイ!」
自分とは違う手が、選ばれる。