魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
スノウの呻き声は始終続き、胸を押さえて廊下に倒れ込むと、息も絶え絶えにコハクに手を伸ばした。
「コハク、様…、たす、け…っ」
「……チビ…!」
あれからどの位経ったか…
1番大切でかけがえのない存在を失ってしまうかもしれない不安と恐怖に揺り動かされたコハクはようやく1歩踏み出し、その後は駆け足で螺旋階段を上がってゆく。
レイラとエリノアは、頬がこけ、唇は枯葉のようになったスノウに駆け寄ろうとしたが、スノウは胸をかきむしり…絶大なる呪いの効果に気が触れ、痛みの最中甲高い声で笑い出した。
「あはははは!解放される…!これで、ようやく、コハク様から…!ぁぁ…っ!」
「す、スノウ…!」
大きく開いたスノウの口の中から炎が見え、恐れ戦いた2人が後ずさると…スノウはコハクが消えて行った螺旋階段の方へと手を伸ばし…そのまま、息絶えた。
――そしてラスとの部屋の前にたどり着いたコハクは、グラースとリロイに守られているドアの前で長い髪の隙間から赤い瞳をぎらつかせ、にじり寄った。
「そこをどけよ」
「どの口がそんなことを言ってるんだ。ラスは今悲しみに打ちひしがれてる。お前の言い訳なんか望んでない」
「誤解なんだ。スノウとはなんでもねえ。あいつが勝手に脱いで、そして…」
「お前はまんまと罠に嵌まったんだろう。そしてラスも嵌められた。わかっていながらどうして会いに行った?それがそもそもの裏切りだと思わないか?」
「…俺はクリスタルパレスを早く再建したかっただけだ。チビと早く…」
唇を噛み締め、拳を握りしめるコハクは嘘を言っているようには見えず、グラースはそう確信したが…今後ラスと結婚した後の未来に不安を覚えた。
この男はどうにも隠し事が多すぎるのだ。
ラスに話してないこともまだまだ沢山あるだろうし、ラスを不安にさせるようなことを今後何度もするかもしれない。
ただグラースよりもそれを危惧していたのは、リロイだった。
絶対にドアの前から動かないという意志で立ち塞がり、腰に差した剣の鞘に手をかけ、言い放った。
「ラスがお前を許すまで、僕も許さない。…ラスは返してもらう」
瞳に炎が燈る。
「コハク、様…、たす、け…っ」
「……チビ…!」
あれからどの位経ったか…
1番大切でかけがえのない存在を失ってしまうかもしれない不安と恐怖に揺り動かされたコハクはようやく1歩踏み出し、その後は駆け足で螺旋階段を上がってゆく。
レイラとエリノアは、頬がこけ、唇は枯葉のようになったスノウに駆け寄ろうとしたが、スノウは胸をかきむしり…絶大なる呪いの効果に気が触れ、痛みの最中甲高い声で笑い出した。
「あはははは!解放される…!これで、ようやく、コハク様から…!ぁぁ…っ!」
「す、スノウ…!」
大きく開いたスノウの口の中から炎が見え、恐れ戦いた2人が後ずさると…スノウはコハクが消えて行った螺旋階段の方へと手を伸ばし…そのまま、息絶えた。
――そしてラスとの部屋の前にたどり着いたコハクは、グラースとリロイに守られているドアの前で長い髪の隙間から赤い瞳をぎらつかせ、にじり寄った。
「そこをどけよ」
「どの口がそんなことを言ってるんだ。ラスは今悲しみに打ちひしがれてる。お前の言い訳なんか望んでない」
「誤解なんだ。スノウとはなんでもねえ。あいつが勝手に脱いで、そして…」
「お前はまんまと罠に嵌まったんだろう。そしてラスも嵌められた。わかっていながらどうして会いに行った?それがそもそもの裏切りだと思わないか?」
「…俺はクリスタルパレスを早く再建したかっただけだ。チビと早く…」
唇を噛み締め、拳を握りしめるコハクは嘘を言っているようには見えず、グラースはそう確信したが…今後ラスと結婚した後の未来に不安を覚えた。
この男はどうにも隠し事が多すぎるのだ。
ラスに話してないこともまだまだ沢山あるだろうし、ラスを不安にさせるようなことを今後何度もするかもしれない。
ただグラースよりもそれを危惧していたのは、リロイだった。
絶対にドアの前から動かないという意志で立ち塞がり、腰に差した剣の鞘に手をかけ、言い放った。
「ラスがお前を許すまで、僕も許さない。…ラスは返してもらう」
瞳に炎が燈る。