魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
リロイに阻まれたコハクは、ラスの隣の部屋へ移動すると、おもむろに本棚から分厚い本を取り出すと振りかぶり、思いきり壁に叩き付けようとしたが…そのままずるずるとドアに寄りかかりながら座り込んだ。
「チビ…俺のことは…信じてくれないのか?」
愛している想いは伝わっていると思っていたのに――
伝わっていなかったのか?
あんな悲痛な声で…
顔を見るのも嫌だと言わんばかりに顔を背けられて…俺がどう思ったと思う?
「…俺のせいだよな。俺が…あいつらをお前の代わりに抱いたのに変わりはねえ。だけど今は違う。違うんだ、チビ…」
頭を抱えて俯いていると、足元に知っている小さな脚が見えた。
「コハク様…」
「…今話しかけんな。どっか行ってろ」
「…ラスが泣いてます。コハク様も…泣いてるの?」
「泣いてねえし。つか…やる気無くなった。チビが俺のことを“大嫌い”って言った。もう駄目だ、なんもやる気しねえ」
本を胸に抱え込み、顔を上げないコハクは数百年も傍に居ながら1度もこんな弱った姿を見せたことがなく、きゅんとしたベルルはコハクの前にぺたんと座ると脚に触れて揺さぶった。
「ラスに時間をあげて下さい。そうすれば絶対誤解だって気付くから。てかコハク様、時間を巻き戻して起こった出来事を見せれる魔法があったでしょ?ラスにそれを見せてやって下さい」
「…それでチビが俺を許してくれるか?“大嫌い”って言われたんだぞ。俺は…チビが怖い。またあんな言葉を言われたくない。怖いんだ」
「コハク様…大丈夫ですよ。ちょっとだけ離れてみて下さい。そうすればコハク様がどれだけ大きい存在なのかわかってもらえます」
――ベルルに何度も励まされ、1時間ほど座り込んでいたコハクはようやく腰を上げ、バルコニーに出ると気配を消してラスの部屋へと入った。
…泣き疲れて寝ていた。
瞼は腫れ、ベッドにはティッシュが散乱し、ひとつひとつゴミ箱に入れながら床に両膝をついて頬にかかった金の髪をゆっくりと払った。
「チビ……、ラス…これが真実だ。見てほしい。俺を…わかってくれ」
大きな手をラスの額にあて、瞳を閉じた。
真実を、見せるために――
「チビ…俺のことは…信じてくれないのか?」
愛している想いは伝わっていると思っていたのに――
伝わっていなかったのか?
あんな悲痛な声で…
顔を見るのも嫌だと言わんばかりに顔を背けられて…俺がどう思ったと思う?
「…俺のせいだよな。俺が…あいつらをお前の代わりに抱いたのに変わりはねえ。だけど今は違う。違うんだ、チビ…」
頭を抱えて俯いていると、足元に知っている小さな脚が見えた。
「コハク様…」
「…今話しかけんな。どっか行ってろ」
「…ラスが泣いてます。コハク様も…泣いてるの?」
「泣いてねえし。つか…やる気無くなった。チビが俺のことを“大嫌い”って言った。もう駄目だ、なんもやる気しねえ」
本を胸に抱え込み、顔を上げないコハクは数百年も傍に居ながら1度もこんな弱った姿を見せたことがなく、きゅんとしたベルルはコハクの前にぺたんと座ると脚に触れて揺さぶった。
「ラスに時間をあげて下さい。そうすれば絶対誤解だって気付くから。てかコハク様、時間を巻き戻して起こった出来事を見せれる魔法があったでしょ?ラスにそれを見せてやって下さい」
「…それでチビが俺を許してくれるか?“大嫌い”って言われたんだぞ。俺は…チビが怖い。またあんな言葉を言われたくない。怖いんだ」
「コハク様…大丈夫ですよ。ちょっとだけ離れてみて下さい。そうすればコハク様がどれだけ大きい存在なのかわかってもらえます」
――ベルルに何度も励まされ、1時間ほど座り込んでいたコハクはようやく腰を上げ、バルコニーに出ると気配を消してラスの部屋へと入った。
…泣き疲れて寝ていた。
瞼は腫れ、ベッドにはティッシュが散乱し、ひとつひとつゴミ箱に入れながら床に両膝をついて頬にかかった金の髪をゆっくりと払った。
「チビ……、ラス…これが真実だ。見てほしい。俺を…わかってくれ」
大きな手をラスの額にあて、瞳を閉じた。
真実を、見せるために――