魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクにキスをしてもらい、抱きしめてもらったラスはほんわかふんわりな気持ちになりながらリロイと合流した。
「コーが結界を張ってくれるって。だからこのあたりに居ても大丈夫だよ」
「そっか、これで安心だね。で、顔が赤いけどどうしたの?」
「え?ううん…なんでもないよ。それよりなんかこそこそ話してるけど、なあに?」
「それが…」
リロイが困った表情になり、視線の先を追ってみると、テントを張り終えた流民たちがリロイを見て言いにくそうにしながらも怖ず怖ずと近付いてきた。
「あの…“ドラゴンテイマー”の白騎士リロイですよね?黒いドラゴンを駆って街を回ってるってすごく有名で…お会いできて光栄です!本物の勇者だ…!」
「だから僕はそんなんじゃなくて…」
「クロちゃんのこと?さっき庭でお昼寝してたよ?呼んでみようか?」
街の奥に向かって息を大きく吸い込むと、出るだけの大きな声でドラちゃんを呼んだ。
「ドラちゃーん!」
『ベイビィちゃん、何の用だい?』
すぐさまラスの声を聴きつけたドラちゃんが、10人以上の人間が両腕を広げても足りないほどの巨体をくねらせ、ラスのすぐそばで強風を巻き起こしながら着陸すると翼を畳み、流民たちは神獣を間近で見て息を呑んだ。
「用はないの。呼んでみたかっただけ」
『困ったちゃんだな、そんなベイビィちゃんも可愛いぜ』
魔王ばりの甘い口説き文句を吐くドラちゃんの鼻面を撫でてやると、喉を鳴らしてラスに懐きまくるドラゴンとそんなラスを優しい瞳で見守るリロイを交互に見て、そして叫んだ。
「ラス王女と白騎士リロイがご結婚されるという噂は本当なんですね?!おめでとうございます!」
「え…、違うよ、結婚はする予定だけど…リロイじゃないの」
はにかむラスの視線の先には、わざとドラちゃんの尻尾を踏みつけながらこちらに歩み寄って来る真っ黒な男の姿。
明らかに性格は悪そうだが、不気味なほどに顔の整った男がラスに手を伸ばし、ラスがその手を取った。
「チビ」
「コー」
恥らいながら、名を呼び合う。
「コーが結界を張ってくれるって。だからこのあたりに居ても大丈夫だよ」
「そっか、これで安心だね。で、顔が赤いけどどうしたの?」
「え?ううん…なんでもないよ。それよりなんかこそこそ話してるけど、なあに?」
「それが…」
リロイが困った表情になり、視線の先を追ってみると、テントを張り終えた流民たちがリロイを見て言いにくそうにしながらも怖ず怖ずと近付いてきた。
「あの…“ドラゴンテイマー”の白騎士リロイですよね?黒いドラゴンを駆って街を回ってるってすごく有名で…お会いできて光栄です!本物の勇者だ…!」
「だから僕はそんなんじゃなくて…」
「クロちゃんのこと?さっき庭でお昼寝してたよ?呼んでみようか?」
街の奥に向かって息を大きく吸い込むと、出るだけの大きな声でドラちゃんを呼んだ。
「ドラちゃーん!」
『ベイビィちゃん、何の用だい?』
すぐさまラスの声を聴きつけたドラちゃんが、10人以上の人間が両腕を広げても足りないほどの巨体をくねらせ、ラスのすぐそばで強風を巻き起こしながら着陸すると翼を畳み、流民たちは神獣を間近で見て息を呑んだ。
「用はないの。呼んでみたかっただけ」
『困ったちゃんだな、そんなベイビィちゃんも可愛いぜ』
魔王ばりの甘い口説き文句を吐くドラちゃんの鼻面を撫でてやると、喉を鳴らしてラスに懐きまくるドラゴンとそんなラスを優しい瞳で見守るリロイを交互に見て、そして叫んだ。
「ラス王女と白騎士リロイがご結婚されるという噂は本当なんですね?!おめでとうございます!」
「え…、違うよ、結婚はする予定だけど…リロイじゃないの」
はにかむラスの視線の先には、わざとドラちゃんの尻尾を踏みつけながらこちらに歩み寄って来る真っ黒な男の姿。
明らかに性格は悪そうだが、不気味なほどに顔の整った男がラスに手を伸ばし、ラスがその手を取った。
「チビ」
「コー」
恥らいながら、名を呼び合う。