魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
力いっぱい寝たラスが起きた時はすでにお昼になり、ぼーっとしながらベッドから降りると、テーブルの上に用意されていたハムとチーズを挟んだベーグルサンドにぱくりと食いついた。
「おいし。コー、ありがと」
コハクは本当になんでもできる。
こんなに尽くしてもらって、果たしてその分自分はお返しをできているだろうか。
――考えれば考える程コハクに負けている気がして、あったかい紅茶をごくごく飲みながら自身を奮起させるように何度も膝を叩いた。
「コーには負けないんだからっ。今日は私が沢山襲ってあげるっ」
よく意味も分からずそう口にして、脚をぷらぷらさせながら窓から差し込むあたたかい日差しに瞳を細めた。
コハクと離れている間、この王国はコハクの指示を受けた魔物たちによってものすごい速さで復興していた。
エリノアとレイラの手伝いもあり、ラスも徐々に掃除が手馴れてきて面白くなってきたところだ。
王女という身分を捨てるのだから、コハクと結婚した後、こうして部屋を掃除して回って毎日忙しく過ごす日々も楽しいかもしれない。
「お父様がコーから呪われなかったら…私とコーは出会ってなかったんだよね。コー…、コハク…」
名を呼ぶと身体の底からきゅんと音がして、ティーカップとソーサーを持って窓辺に寄り、クリスタルパレスの方をじっと見つめていたその時――
「…!?んむ……っ」
「さあ、しばらくの間…お眠りなさい」
背後からいきなり布で口を覆われ、その匂いを思いきり吸い込んでしまったラスは、あっという間に身体から力が抜け、こん睡してしまった。
そんなラスの身体を受け止めたのは…人のやわらかな手。
今までずっと、息を殺してラスとコハクを見つめていた者の、白い手。
眠ったラスの身体を細い腕がいとも簡単に抱き上げ、部屋の真ん中に移動すると、何かを口の中で唱え、浮かび上がった魔法陣の中に入り、白い光に包まれた。
「さあ、捜しに来なさい。大切なものを奪われた時、あなたはどうするか…。この世を滅ぼすか、または…ふふふ」
やんわりと笑み、魔法陣と共に消えて行く――
「おいし。コー、ありがと」
コハクは本当になんでもできる。
こんなに尽くしてもらって、果たしてその分自分はお返しをできているだろうか。
――考えれば考える程コハクに負けている気がして、あったかい紅茶をごくごく飲みながら自身を奮起させるように何度も膝を叩いた。
「コーには負けないんだからっ。今日は私が沢山襲ってあげるっ」
よく意味も分からずそう口にして、脚をぷらぷらさせながら窓から差し込むあたたかい日差しに瞳を細めた。
コハクと離れている間、この王国はコハクの指示を受けた魔物たちによってものすごい速さで復興していた。
エリノアとレイラの手伝いもあり、ラスも徐々に掃除が手馴れてきて面白くなってきたところだ。
王女という身分を捨てるのだから、コハクと結婚した後、こうして部屋を掃除して回って毎日忙しく過ごす日々も楽しいかもしれない。
「お父様がコーから呪われなかったら…私とコーは出会ってなかったんだよね。コー…、コハク…」
名を呼ぶと身体の底からきゅんと音がして、ティーカップとソーサーを持って窓辺に寄り、クリスタルパレスの方をじっと見つめていたその時――
「…!?んむ……っ」
「さあ、しばらくの間…お眠りなさい」
背後からいきなり布で口を覆われ、その匂いを思いきり吸い込んでしまったラスは、あっという間に身体から力が抜け、こん睡してしまった。
そんなラスの身体を受け止めたのは…人のやわらかな手。
今までずっと、息を殺してラスとコハクを見つめていた者の、白い手。
眠ったラスの身体を細い腕がいとも簡単に抱き上げ、部屋の真ん中に移動すると、何かを口の中で唱え、浮かび上がった魔法陣の中に入り、白い光に包まれた。
「さあ、捜しに来なさい。大切なものを奪われた時、あなたはどうするか…。この世を滅ぼすか、または…ふふふ」
やんわりと笑み、魔法陣と共に消えて行く――