魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
奇跡の時
暗闇の中光る2つの目を持った謎の男は、金色の軌跡を走らせながらラスの前で行ったり来たりを繰り返していた。
その間ラスはじっと目を凝らしてどんな男なのかを見ようとしたのだが闇が濃くて全く姿を見ることができない。
…だが、男からはラスの姿は鮮明に見えているようだった。
「美しい…女…だな。俺の城に何の用だ。突然現れて…人じゃないのか?そうだ…そうに違いない…!俺を殺す気か!殺すつもりならいっそのこと早く殺せ!」
「え?殺したりしないよ…?私も何が何だか…えっと…、眠っちゃって…目が覚めたらここのあのベッドに居て…私こそ知りたいよ。ここはどこ?」
きょとん顔のラスは本当に何も知らないようで、男は立ち止まり、金の瞳を瞬かせた。
「…わかったぞ…あの男だな…!俺を…俺をこんな姿にしたあの男が…!」
「ねえ、こっちに来て顔を見せて?あの男って誰?あなたはここのお城の王様なの?名前は?」
質問攻めにすると、男はドアをゆっくりと開け、僅かな光が差し込む中少しだけその姿をラスに知らしめた。
「俺の名は…ビースト。そう呼べ」
「…ライ…オン?」
――立派な鬣と太い手足の巨体…
人間のように服を着てマントを羽織ったライオンの姿に驚いていると、すぐにドアが閉まり、ラスはまた暗闇の中に閉ざされた。
「今の…ライオンだったよね?すっごくおっきかった…。でも不思議…全然怖くなかった…」
手探りでまたベッドに腰掛けて、ビーストが“あの男”と呼んだ人物が誰かを考えていると、さっき閉まったはずのドアが勝手に音を立てて少しだけ開いた。
この部屋は真っ暗だが、他の部屋には少しだけ光が差しこんでいるらしく、ラスは早速腰を上げてどきどきしながらドアに近づき、部屋の外へと出た。
やはり城全体は薄暗く、だがこの部屋よりは明るい。
調度類には埃が被り、床に敷き詰められた赤い絨毯には獣の…ビーストの足跡が沢山残っていた。
「お掃除したいな…。お掃除してくれる人が居ないのかな」
すっかり掃除好きになってしまったラスが呟きながら城の中をビーストを求めて歩き回った。
何故ここに連れて来られたのか?
コハクは一体どこに?
その間ラスはじっと目を凝らしてどんな男なのかを見ようとしたのだが闇が濃くて全く姿を見ることができない。
…だが、男からはラスの姿は鮮明に見えているようだった。
「美しい…女…だな。俺の城に何の用だ。突然現れて…人じゃないのか?そうだ…そうに違いない…!俺を殺す気か!殺すつもりならいっそのこと早く殺せ!」
「え?殺したりしないよ…?私も何が何だか…えっと…、眠っちゃって…目が覚めたらここのあのベッドに居て…私こそ知りたいよ。ここはどこ?」
きょとん顔のラスは本当に何も知らないようで、男は立ち止まり、金の瞳を瞬かせた。
「…わかったぞ…あの男だな…!俺を…俺をこんな姿にしたあの男が…!」
「ねえ、こっちに来て顔を見せて?あの男って誰?あなたはここのお城の王様なの?名前は?」
質問攻めにすると、男はドアをゆっくりと開け、僅かな光が差し込む中少しだけその姿をラスに知らしめた。
「俺の名は…ビースト。そう呼べ」
「…ライ…オン?」
――立派な鬣と太い手足の巨体…
人間のように服を着てマントを羽織ったライオンの姿に驚いていると、すぐにドアが閉まり、ラスはまた暗闇の中に閉ざされた。
「今の…ライオンだったよね?すっごくおっきかった…。でも不思議…全然怖くなかった…」
手探りでまたベッドに腰掛けて、ビーストが“あの男”と呼んだ人物が誰かを考えていると、さっき閉まったはずのドアが勝手に音を立てて少しだけ開いた。
この部屋は真っ暗だが、他の部屋には少しだけ光が差しこんでいるらしく、ラスは早速腰を上げてどきどきしながらドアに近づき、部屋の外へと出た。
やはり城全体は薄暗く、だがこの部屋よりは明るい。
調度類には埃が被り、床に敷き詰められた赤い絨毯には獣の…ビーストの足跡が沢山残っていた。
「お掃除したいな…。お掃除してくれる人が居ないのかな」
すっかり掃除好きになってしまったラスが呟きながら城の中をビーストを求めて歩き回った。
何故ここに連れて来られたのか?
コハクは一体どこに?