魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ビーストはよくよくラスを観察していた。
そしてラスもよくよくビーストを観察していた。
…ビーストは毛むくじゃらで、手の爪も牙もすごくて、だが人の服を着ているのがなんだか可愛らしく、ラスは椅子に座ったままがたがたと音を立てながらビーストの膝と触れ合いそうな距離に座り直してにこにこしていた。
その度にビーストが椅子を引いて離れ、ラスが近付き…何故かビーストはこの小さくてすぐに手折れてしまいそうな絶世の美少女に追い詰められ、変な汗が止まらなくなっていた。
「お、俺に近づくな」
「でも一緒に呪いを解く方法を探そうって約束したでしょ?ねえ、“あの男”って誰?」
「…魔法使いだ。俺も1度しか会ったことがない。あいつに…俺や俺の家来たちは姿を変えられて…」
「魔法使いっ?コーなのかな…でも違う気がするけど…」
“コー”という名を口にして窓から身を乗り出すと、広大な庭園が広がり、ただ…手入れはされておらず、咲き誇っていたはずの花々たちは枯れ、立派な門は錆びて斜めになっていた。
ビーストは“コー”という人物の存在が気にかかったが何も言わず、クローゼットからミンクの毛皮のコートを取り出すと恐る恐るラスの頭にかけ、ため息をついた。
「ここは絶海の孤島だ。住人は…俺しか住んでいない。…お前も俺と同じようにここに閉じこめられたんだ。あの魔法使いに…!」
「私の名前、ラスって言うの。ね、もう独りじゃないから2人で色々考えよ。焦ったって仕方ないよ。ねえお腹空かない?食料はあるの?何か作ってあげようか?」
常にマイペースなラスは勝手に部屋を出て、ビーストがラスの後を追いかけながら焦った声を上げた。
「勝手にうろつくな!俺は腹が減ってなんか…」
「私が空いたの。ひとりで食べるのって寂しいから一緒に付き合ってっ」
1階のキッチンに着くとこれまた勝手に棚や冷蔵庫を漁り、ハムや卵やチーズを取り出すとミンクのコートを脱いで腕まくりをした。
「元に戻れる方法など今までなかった!俺のことは構うな!」
「でも2人ぼっちだよ。絶対コーが助けに来てくれるはずだからそれまでのんびりしてよ。いらいらするとお腹空いちゃうよ」
…マイペースすぎた。
そしてラスもよくよくビーストを観察していた。
…ビーストは毛むくじゃらで、手の爪も牙もすごくて、だが人の服を着ているのがなんだか可愛らしく、ラスは椅子に座ったままがたがたと音を立てながらビーストの膝と触れ合いそうな距離に座り直してにこにこしていた。
その度にビーストが椅子を引いて離れ、ラスが近付き…何故かビーストはこの小さくてすぐに手折れてしまいそうな絶世の美少女に追い詰められ、変な汗が止まらなくなっていた。
「お、俺に近づくな」
「でも一緒に呪いを解く方法を探そうって約束したでしょ?ねえ、“あの男”って誰?」
「…魔法使いだ。俺も1度しか会ったことがない。あいつに…俺や俺の家来たちは姿を変えられて…」
「魔法使いっ?コーなのかな…でも違う気がするけど…」
“コー”という名を口にして窓から身を乗り出すと、広大な庭園が広がり、ただ…手入れはされておらず、咲き誇っていたはずの花々たちは枯れ、立派な門は錆びて斜めになっていた。
ビーストは“コー”という人物の存在が気にかかったが何も言わず、クローゼットからミンクの毛皮のコートを取り出すと恐る恐るラスの頭にかけ、ため息をついた。
「ここは絶海の孤島だ。住人は…俺しか住んでいない。…お前も俺と同じようにここに閉じこめられたんだ。あの魔法使いに…!」
「私の名前、ラスって言うの。ね、もう独りじゃないから2人で色々考えよ。焦ったって仕方ないよ。ねえお腹空かない?食料はあるの?何か作ってあげようか?」
常にマイペースなラスは勝手に部屋を出て、ビーストがラスの後を追いかけながら焦った声を上げた。
「勝手にうろつくな!俺は腹が減ってなんか…」
「私が空いたの。ひとりで食べるのって寂しいから一緒に付き合ってっ」
1階のキッチンに着くとこれまた勝手に棚や冷蔵庫を漁り、ハムや卵やチーズを取り出すとミンクのコートを脱いで腕まくりをした。
「元に戻れる方法など今までなかった!俺のことは構うな!」
「でも2人ぼっちだよ。絶対コーが助けに来てくれるはずだからそれまでのんびりしてよ。いらいらするとお腹空いちゃうよ」
…マイペースすぎた。