魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その頃まだオレンジに夢中になっていたラスは、空が脈打つような振動を感じ、ビーストの手を引くと勝手口から外に出て空を見上げた。
「…?なんか感じたよね?まさか…雷?」
「違う。なんだあれは…!?」
ビーストが空に向かって手を伸ばし、光のシャワーのようなものが降り注ぐと、ラスを庇うように胸に抱きしめて背を向けた。
…だが何も起こらず、恐る恐る顔を上げると…
「チビ!」
「え…、コー!?コーなのっ?」
ラスが腕の中でもがき、離してやると、空には全身真っ黒な男が立っており、ラスがその男に向かって“コー”と呼んだので、耳を疑った。
何故ならば、美形ではあるが…ラスには似つかわしくない不穏な雰囲気を漂わせていたからだ。
「あの男が…コー?」
「そうだよっ、コー!迎えに来てくれたのっ?コー!」
「チビ…遅くなってごめん。さ、来い来い」
ふわりと地上に降り立つと腕を広げたコハクに一目散に駆け寄り、ぎゅうっと抱き合うと、今まで気丈だったラスが涙声でコハクの頬に何度もキスをし、魔王、有頂天。
「寂しくなかったけど…寂しかったよ。でもビーストさんが居てくれたから…」
「あのライオン野郎か。…てかチビ!な、なんだその格好!シャツ1枚って…鼻血出る!てか男物じゃん!まさかあのライオン野郎の趣味…いやいや、チビになんて格好させてんだてめえ!」
あまりの剣幕に後ずさりをするビーストにラスを抱っこしたまま詰め寄ると、ラスはコハクの顔を胸に押し付けて視界を塞いだ。
…のだが、今度は違う意味で大コーフン。
「ち、チビ!むむむ胸がっ!」
「コー、ビーストさんは人間なの。コーの力で呪いを解くことができるならお願いっ、助けてあげてっ」
――コハクはやわらかいラスの胸をもっと味わっていたかったが仕方なく顔を上げて首を振った。
「いや、呪いをかけた奴をどうにかしねえと無理だ。…てなわけで、出て来いよオーディン。どうせ見てるんだろ?」
「おや、ばれましたか。さすがですね」
のんびりとした声をビーストは忘れたことがなかった。
…自分に呪いをかけた、あの魔法使いの声だった。
「…?なんか感じたよね?まさか…雷?」
「違う。なんだあれは…!?」
ビーストが空に向かって手を伸ばし、光のシャワーのようなものが降り注ぐと、ラスを庇うように胸に抱きしめて背を向けた。
…だが何も起こらず、恐る恐る顔を上げると…
「チビ!」
「え…、コー!?コーなのっ?」
ラスが腕の中でもがき、離してやると、空には全身真っ黒な男が立っており、ラスがその男に向かって“コー”と呼んだので、耳を疑った。
何故ならば、美形ではあるが…ラスには似つかわしくない不穏な雰囲気を漂わせていたからだ。
「あの男が…コー?」
「そうだよっ、コー!迎えに来てくれたのっ?コー!」
「チビ…遅くなってごめん。さ、来い来い」
ふわりと地上に降り立つと腕を広げたコハクに一目散に駆け寄り、ぎゅうっと抱き合うと、今まで気丈だったラスが涙声でコハクの頬に何度もキスをし、魔王、有頂天。
「寂しくなかったけど…寂しかったよ。でもビーストさんが居てくれたから…」
「あのライオン野郎か。…てかチビ!な、なんだその格好!シャツ1枚って…鼻血出る!てか男物じゃん!まさかあのライオン野郎の趣味…いやいや、チビになんて格好させてんだてめえ!」
あまりの剣幕に後ずさりをするビーストにラスを抱っこしたまま詰め寄ると、ラスはコハクの顔を胸に押し付けて視界を塞いだ。
…のだが、今度は違う意味で大コーフン。
「ち、チビ!むむむ胸がっ!」
「コー、ビーストさんは人間なの。コーの力で呪いを解くことができるならお願いっ、助けてあげてっ」
――コハクはやわらかいラスの胸をもっと味わっていたかったが仕方なく顔を上げて首を振った。
「いや、呪いをかけた奴をどうにかしねえと無理だ。…てなわけで、出て来いよオーディン。どうせ見てるんだろ?」
「おや、ばれましたか。さすがですね」
のんびりとした声をビーストは忘れたことがなかった。
…自分に呪いをかけた、あの魔法使いの声だった。